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ヒナギク
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あれからまともに梓と口をきかずにダブルデート当日を迎えてしまった。
行きの電車の中でも、梓は黙って外の景色を眺めているだけだった。
奏達と待ち合わせをしている駅前は休日だけあって他にも待ち合わせをしている人たちで賑わっていた。
辺りを見回して奏達を探す。
すると、こちらに歩いてくる奏の姿があった。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
「…おはよう、ございます」
目線を合わせず梓も呟いた。
口を開いたことにホッとする。
「謙太郎君、後少しで来るって」
そう奏はいいながら改札の方を眺める。
俺は、鈍い方だと自分でも自負していたけど、さすがにこの二人に挟まれているのは気まずいと感じた。
「すいません!お待たせしました!」
そう声が聞こえると、謙太郎君が爽やかな駆け足でこちらに向かってくる。
ちらっと梓を見ると、少しホッとしたような顔をした。
一方奏は、目を向けることもなく、黙ったまま。
これは、前途多難な予感だ…。
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