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ヒナギク
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「じゃあ、買ってくる。何味がいい?」
「苺が、入ってるのが、いい…です…」
ボソボソと答える梓。
分かった、と頷き俺はクレープを買いに一歩踏み出した。
「喉乾いた。僕も行く」
すると、奏が言った。
これは…。
「えっ…」
梓が小さく漏らした。
謙太郎君は、俺から見ても分かるくらいに大きく傷ついているように見えた。
奏を見ると、無感情に、ただ、俺を見つめていた。
けど、一瞬、瞳孔が揺らいだ。
それにたまたま気づいてしまった俺は、何かあるんだと、また、奏を放ってはおけずに頷いてしまった。
「梓、あそこのベンチに座って待ってて。すぐ戻ってくるから」
梓はベンチの方をチラッと見ると素直に頷きベンチに向かったが、背中は寂しそうで、胸が痛んだ。
梓を追いかけるように、謙太郎君もベンチに向かうが、奏のことが気になるみたいでチラチラと振り返る。
奏は決して謙太郎君の方を見ようとはしなかった。
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