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ブーゲンビリア
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「ただいま」
梓がうちに来てからは、帰ると必ず言うようになった。
梓も続けて呟く。
「た、だいま…」
「おかえり」
そう微笑み返すと、梓も少しだけはにかんだ。
2人でベットに腰を下ろす。
思わず2人してため息が漏れ、おかしくなった笑った。
笑終わっても、会話はない。
数秒の間ができる。
ベットが少しきしんだ。
梓は、俺に抱きついた。
俺も、抱きしめ返すと梓は顔をうずめて少し震えた声で俺を呼んだ。
「こ…たさ…」
「ん?」
2人しかいないのに、俺もつい梓につられて声がウィスパーになる。
甘ったるい掛け合い。
「こわ…こわかっ、た…」
「うん。ごめんな、置いて行ったりして」
「…浩太、さん」
少し間があってまた名前を呼ばれる。
ん?と、優しく返すと、梓は顔を上げて俺を見上げた。
少し潤んだ瞳がたまらなく可愛い。
「僕、こうたさ…ごめ、ごめんなさ…」
そう言うと、堪えていた涙が一気に溢れた。
俺は意味が分からず梓の続きの言葉を待つ。
「あ、あの…あの人…浩太さんの、お友達、なのに…僕…こ、こ…たさ、笑っ…嫌で…」
俺は余計に分からなくなった梓の言葉を必死に拾いながら、ゆっくり、と梓の背中を優しくさすった。
すると、嗚咽をもらして泣き出しそうだった梓も少しだけ深呼吸をするように息を吐き、ゆっくりと話し始めた。
「あ、朝比奈さん…」
「奏?」
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