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朋也はラーメンをズズズッと啜ってから興味なさげな顔で咀嚼する。
「元々こういう話題って何でか女子のが噂回すのはやいんだけどさ、今年の一年は男のレベルが高いらしいんだよ」
「へー...」
一年の男のレベル。
そう言われて真っ先に思い浮かべるのはやはり榊晴の顔だった。
...なんかこういう話題で思い浮かべてしまうのは少し複雑な気もするけど、あいつも相当レベル高いだろうし。
「今日、中塚たちも話しててさ。燕尾服とか着せたいーとか言ってた。なんて名前の一年だったかなぁ...」
中塚は、同じクラスの女子生徒で確か被服部に所属していたはずだ。
イケメンに服を着せるのが好きなのか、去年の文化祭の時も瀬川相手に結構粘っていた。
結局それは瀬川が嫌がって止めになったんだけど、相変わらずなんだな。
燕尾服ってまたマニアックな...。
かぼちゃの煮物を美味い美味いと食べながら、何とも言えない顔になってしまう。
一方、朋也はその一年の名前が思い出せないのが引っかかるようで、うんうんと唸っていた。
手助けしてやりたいけど、残念ながら俺はそういう話題に疎いからなぁ。
一年の名前なんて一人しか知らない。
「従順そうに見えて下克上とかしちゃう執事役とか似合う〜とか言っててさ、名前が思い出せない..っ」
特に知りたくもない情報を垂れ流しながら、一生懸命記憶を掘り返しているっぽい朋也を横目に俺は一人飯を食う。
「確か...ナントカくんって」
「ナントカくんじゃ分かんないな」
「さ、さ...佐野くん?いや違う...」
「もう諦めろって」
「ヤダよ!なんかこういうのって思い出さないとモヤモヤする」
その気持ちは少し分かるけど、飯食べてる隣でいつまでも唸られたら美味しいご飯がまずくなりそうだ。
思い出すならさっさとしてくれー、なんて冷めたことを思う。
「えーと、な。サ...櫻井?じゃなくて、垣原じゃなくて...何だったっけなぁ..。さ、さ、サカ..界?」
どんだけ思い出せないのか、朋也の口からでる名前はどれもバラバラ。
だけど、一貫してどこか聞き覚えのある音だった。
まさか...、と思い俺は一人の男を思い出しながら小さく呟いた。
「榊晴....、とか?」
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