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ー過去ー
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俺が生まれた場所は知らない
だから母親もどこの誰だか知らない
当たり前の話、父親なんてわかるわけもない
19年前
俺は公園のベンチに置き去りにされていたらしい
詳しい事は知らない
とにかく、死ぬ事を見込んで裸のまま置き去りにされたみたい
秋、紅葉の中
落ち葉に埋もれて俺は発見された
どうやらその落ち葉のおかげで一命を取りとめたらしいけどね
どうせならそのまま放置してもらった方が俺にとっては幸せだったかも知れないね
物心ってやつ?
それがつく前なら、怖いとか、痛いとか、寂しいとかもわからないと思うんだ
でも俺は早朝に公園に散歩に来ていた老人に発見された
その後はお決まりコース
大人はいいよね
いや、俺にしてみれば親か・・・・・・
生んで捨てて人生をやり直せるんだからさ
まぁ・・・ろくな人生は送れないだろうけどね
俺は見つけられた時、真っ赤な落ち葉に埋もれていたから楓と名付けられ、親の顔を知らないまま施設で育った
あ~、と言うか親の存在ってやつがよくわからなままって言った方がいいのかな
そもそも、親って何?
よく絵本では子供を抱きしめているような絵が描かれているけど、実際はどうなの?
抱きしめられた事がないからわからないや
ついでに言わせてもらうとするならば、幸せって何?って事ぐらいかな
小学生になったあたりから何となく理解出来た
普通は親がいて家族がいると言う事にね
俺は生まれた時からずっとここにいたからこの光景が当たり前なんだと思い込んでいたっけ
親ではなく先生
家族ではなく孤児の集まりで出来た場所
遠足とかでさ、みんなが持ってくるお弁当は美味しそうでウインナーとかもタコさんとかそれぞれ工夫されていて美味しそうだったな
俺?
俺はいつも同じおにぎりとか愛情なんかこもっていないお弁当だったかな
だって、俺のいた施設は最低の場所だったしね
唯一、雨が降っても濡れずに済む事ぐらいかな
そう言えば、やたらとクリスマスにはおかしな奴らが来てたっけ
あれって何?
喜んでもらおうとしてやっていたの?
そんな事で笑えると思うの?
馬鹿みたい・・・・って毎年思ってたっけ
つまらない劇や安いお菓子を渡されて、無理矢理「サンタさーん!」とか言わされてさ
あのね・・・・子供も馬鹿じゃないんだよね
サンタとか信じてるわけないでしょ?
大体、親にも見離されて捨てられたのに何を信じろと言うんだか
でも、一応楽しそうに笑わないといけない事もわかってて
ホント、嫌な日としか思えなかったよね・・・・クリスマス
そのシーズンにやたらと見る赤い服
吐き気がする
中学もどうでもいいやって感じだったかな
よく告白もされたけどさ、一度も家には入れてもらえなかった
入りたいとも思わなかったけど、要するに俺が施設にいる事を隠したかったんだろうね
だから、屋上とか公園とか駅のトイレとか、出来るところでならどこでもやりまくったかな
気持ちいいとは思わなかったけど、まぁ性欲はおかげで解消できたみたいなね
友達は一応いたけどみんな心のどこかで俺を見下していたみたいだしね
中には親がいても子育て放棄されたような奴や、親に虐待を受けている奴らもいたけどさ・・・・・
なんだろね
仲良くはなれなかったかな
だって、あいつらはそれでも親を庇おうとしているんだもの
ホント・・・・よくわからないよね
中学卒業と同時に俺は施設を出て就職した
と言っても、中卒にもらえる給料なんてすずめの涙程
キツイ労働をさせられて、ホント毎日目を覚ますのが嫌だったな
寮は汚い四畳半の部屋に3人が同居
信じられないけどホント
そして思ったね
どうして不細工な顔に生まれなかったのかって
どうやら顔だけはイケメンとか言う部類に入るらしい
どうでもいいけど
髪もカットするお金が無いから伸ばしていたし、それがいけなかったのかもね
同じ部屋の奴らは20代と30代の奴ら
てか、いい年なんだから一人で住めばいいのに甘えすぎなんだよ
で・・・・まぁ・・・・・
ある日、酔った二人に無理矢理強姦された時、俺の中の何かが切れたらしい
抵抗はしても無駄だと思った
ただただ、激痛に耐えていた
口の中に押し込まれたモノの匂い
体にぶちまけられた濁った液体
そして、太ももを伝う赤い血
だから赤は嫌い
見るだけで吐き気がする
俺は無意識にそいつらをナイフで滅多刺しにしてやった
飛び散る赤
顔にかかる赤
体を染める赤
血の海のような床の赤
このあたりから狂っていたのかもね
その後は意外と冷静だった
冬だった事もあって、俺はストーブを蹴飛ばし火をつけた
安い木造の寮はあっと言う間に燃えたよ
そう
赤い
炎をあげてね
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