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ーpastー
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生まれた時から俺は嫌われ者だった
一番愛して欲しいママにまで悪魔呼ばわりされたらしい
俺が生まれたのは外国の小さな村
葡萄農園が盛んでもちろん家も葡萄農園を営んで豊かな生活を営んでいたらしい
ところが、俺が生まれた年に大災害に見舞われ、ほとんどの農園が全滅した
全て俺のせいと決め付けられ、両親は俺を村から遠く離れた教会に捨てた
そりゃね・・・・平和な小さな田舎町に、顔面蒼白なレッドアイの子供が生まれれば悪魔と言われても仕方が無い
でも、俺は人間だ
俺は慈悲深いシスターに育てられ、真っ直ぐな人生を歩んでいくつもりだった
俺を捨てた親も許すつもりでね
毎日、教会の手伝いをして、学校に通っていたが、やはりこの顔が相当珍しいらしくみんなからはいつものけ者にされていた
そこで先生が、俺の事をみんなにキチンと話をしていてくれたのなら子供の事だし、すぐに打ち解けられたかも知れないけど、実際のところ先生もアルビノの存在を知らなかったのかもね
辛い毎日が続き、いつしか学校へ行くのが苦痛に感じるようになっていた
毎日一人でただ、時間が過ぎるのを待っていた
そんなある日の事
いつものように学校から帰り、シスターを捜した
おやつはいつも味の無いパンケーキだったけど俺は好きだった
決して裕福とはいえない教会
夕食も、僅かな野菜が入ったスープとパンだけ
教会には俺を育ててくれたシスター2人と神父様が住んでいた
「シスター?」
いつもいるはずのシスターがどこにもいない
お祈りの時間にはまだ早いけど、礼拝堂かな?
そのままカバンを置いて、礼拝堂に向かい大きな扉を開けた
「ダメーーーー!逃げなさい!!」
「黙れ!」
「ぐっ!」
「シスター!」
はじめて見る光景だった
神聖な礼拝堂でシスターが男に・・・・・・
ありえない光景だった
でも、男は獣のように体を揺らしシスターは泣き叫んでいた
「やめろ!シスターから離れろ!!」
「クソガキが!」
「いっ!」
小さな俺は簡単に突き飛ばされ、頭を打った
目の前が暗くなってくる
このまま死んでしまうのかな・・・・
と思ったその時
鋭い激痛で意識を取り戻した
「痛いっ!!痛いよっーーー!!」
「ガキもいいもんだな・・・へへっ」
「や・・・めて・・・・・その子を・・・はなしな・・さい」
「命令するな!お前は死んでろ」
無理矢理俺を犯しながらそいつはシスターを笑いながら目の前で撃ち殺した
悲しくて痛くて・・・・・気が狂いそうだった
その音を聞きつけた神父様やもう一人のシスターも撃ち殺された
礼拝堂は血の海
さっきまで生きていた人達は床に転がり血を流していた
人間の死とはこんなに簡単なものなのかと落胆し、涙を零した
そんな俺を面白そうに犯し続ける男
こいつだけは許せないと思った
気付かれないように手を伸ばし、床に転がっていた燭台を握りしめて思い切りクビに突き刺した
「グッ・・・・・・貴様・・・」
恐怖と怒りで髪が逆立つような感覚を覚えた
「・・・・・・あく・・・・ま」
血の海の中に佇む俺は悪魔に見えたのかも知れない
まだ話せる力がある男の首をもう一度力いっぱい刺して殺した
握りしめていた燭台を床に落とし、しばらく呆然とシスター達の亡骸を見つめた
優しかったシスターはもういない
俺はこれからどうすれば・・・・・
「神様・・・・」
血の海になった礼拝堂で俺はひたすら祈るしかなかった
そして漸く警察がやって来た
男はシスターに殺された事になっていた
俺は、祈りながら気を失っていたらしくそのまま病院に運ばれ、ずっと病院の真白な部屋の中だけで生きていた
精神状態は至って普通のつもりだった
でも、こんな外見の俺を外に出す事を拒む人間がいたらしい
決められた空間で出来る事は、寝る事と食べる事
でも、それだけでは本当に気が狂いそうになる
だから俺は毎日本を読んでいた
読んだ知識は全て吸収する事が出来た
こうして約10年間、白い牢獄で暮らし吸収した知識を活用して病院を抜け出し自由になった
10年ぶりに見る光は俺には強すぎたらしく、一瞬で目を傷めた
まるで深海魚だな
その後は、生きる為に何でもやった
ある程度、金が貯まったので昔本で見た綺麗な国に行こうと思ってやって来たのは2年前
四季があるすばらしい国
それだけの国
どこの世界でも年寄りや頭の固い人間からは相変わらずのけ者扱いだった
でも、この小さな島国には好んで受け入れてくれる人間もいた
俺には国籍が必要だった
ここで生きていく為にね
でも、それも人のいい老夫婦が俺を養子に迎え入れてくれた
一緒に過したのはほんの半年
優しい老夫婦とのつかの間の幸せ
でも、今まで白い部屋に閉じ込められていた俺は、その幸せよりも遊ぶ楽しさを知った
遊ぶ楽しさを覚え始めた俺は、1時間かけて街に行き深夜まで遊んでいた
そして・・・・・・
朝、家に戻るとそこにあるはずの家は真っ黒な炭になっていた
そう
ストーブから引火してあっと言う間に全てを灰にしたらしい
そのまま警察に連れて行かれたが、アリバイもありすぐに釈放された
あの日見た黒く焼けこげた柱や壁
真っ黒な煙
俺って・・・・・
本当に
悪魔なのかな・・・・・なんて
ただただ悲しく笑うしかなかった
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