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過ぎたまま
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あの時からというと
輝馬には何も話せていない。
漫画喫茶で目が覚めると何もなかったかのように
ニコッとして声をかけてくれた。
ちゃんと話そうと思った。…けど、
1日…1週間…1ヶ月…それ以上が経ってもなにも言えずにいた。
それでも輝馬は言えと言ってくることはなくて、
ただただ俺の日常を心配していた。
何も言えずに、家での毎日は変わらずに時間はあっというまに過ぎていった。
ー高校入学式前日ー
「明日からいよいよ高校生かー。なんか実感ないけどなー」
入学式前日、俺は輝馬と過ごしていた。
まぁ、春休みに入ってからほんとんど輝馬と一緒にいる。
あいつはこの時期は海外出張に行くから俺もほんとんど自由の身だ。
「でも、まぁまた3年間成桜といれるなー。よかった」
「だな。」
そう、輝馬も輪王を受けたのだ。
輝馬は元々受験をするのが面倒くさいと言って、高校に流れて行く予定だった。
けど俺が輪王受けると言ったら俺も受けるとか言い始めて、2人で受けて無事に2人とも合格したのだ。
「でも、やっぱ成桜はすごいよなー。今回の入試テストぶっちぎりの1番じゃん。」
「まぁ…な。…でも新入生代表はだるい。」
テストの結果はすでに返ってきていた。
テストの結果はあいつにも見せなきゃいけないから、もしも2番目だとか3番目だったらどうなるか分からない。
流石に気の抜けないテストだった。
「そこは頑張んなきゃだよなー…んーー…でもなんか成桜高校入ったらモテそうだな…」
……。
「いや、だって春休みに入ってから体型も平均ぐらいになって顔色よくなったし…ほら背も伸びたし!!新入生代表挨拶できゃーきゃー言われそーじゃん」
「…俺は女は分かんね。興味もねぇし…」
まぁ、そっかと返してくる輝馬。
確かにここ最近輝馬と過ごすようになってから飯も食べるようになって体重も増えたし、睡眠も並に取るようになった。中3の最後に身長もかなり伸びて驚いたとこ。
「ま、クラス一緒になることを願おうぜー」
な?とこっちを見てくるから
「そうだな。」と小さく返した。
中学生最後の日は今まで以上に平和だった。
桜の花びらが表裏と面を翻して地面に散っていく。
そんなことも気にできるようなぐらい、今の俺の中は落ち着いていた。
今だけの落着きだと思うけど…
「おっはよー!…ってイケメンかー!!…やっぱ髪セットして正解だったんだ…」
「いや、輝馬も制服似合ってんぞ…大人っぽい」
相変わらず輝馬と通うことは変わりない。
お互いの新しい姿に褒め合いながらも少しの緊張で心が跳ねていた。
普段ならただ勉強のため…あいつの言いなりっておもって学校に通っていたけど今日は違った。
環境が少し自由になり、輝馬と一緒で、新しいものにも出会うかもしれないという勉強だけでない何かを楽しみにできた。
輪王の制服はごくシンプルなものだった。
黒のブレザー黒のスボン黒のネクタイに1ラインだけ濃いめの赤がひいてある。ワイシャツは白と黒があり、大切な行事などには黒普段は白という感じになっていた。
シンプルの方が確かに馬鹿っぽくないよな。
「じゃ。行こうぜ」
学校は電車と徒歩。電車で6駅行き、そこから徒歩10分ぐらいのところにある。
初めての通学路を桜を眺めながらゆっくりと向かった。
「…えっ、あの人めっちゃかっこよくない?」
「輪王にあんま期待してなかったけど、あれはやばい」
「隣の人も結構いいんじゃない?」
校門を抜けると遠くからこっちを見てヒソヒソとしている新入生達。
俺…制服の着方間違えた?…ヘアセットが変なのか…?
「お!いい感じじゃん。あれは好評好評〜」
「は???」
輝馬は周りの女子達を見てニヤニヤとしている。
やっり〜と1人で言う輝馬にどういうこと?とサインを送った。
「だからー…「ねぇ!」」
輝馬が教えてくれようとした時俺の肩に誰かの手が触れた。
声をかけられ振り向くとやたら背の低い男の子…いや、同じ新入生の人が立っていた。
「ま…お…?」
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