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何も見えない後ろ姿
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そこで見てしまったのは紛れもなく真桜の姿で、
俺は咄嗟に路地の影に隠れた。
浅原もなんとなく察してくれ、俺を確認していた。
「あっ、真桜…」
「最近よく会うね!」
「ここら辺に住んでるの…?」
「ううん!もうちょっと離れたところだよ。こんな高級住宅街には住めないよー…雫は?引っ越ししたの…?」
「あ、うん。春休み中に引っ越してきた。まさか真桜にまた会えるとは思ってもなかったなぁ」
「…雫…ごめんね…何も言わずに転校しちゃって…雫とは仲良かったから言いにくくて…本当にごめんなさい。」
「…いや!全然気にしないでよ…ほらこうしてまた会えたし!」
「…雫…!!ありがとう!これからまたよろしくね!」
「うん!」
「…そういえば雫って成桜と友達なの…?」
和解が終わり、なにを口にすると思ったら俺の話だった。
さっきより耳を傾け話に集中する。
別に気になってるわけじゃない。
俺の名前がでたからだ。
「あ、あぁ五條くん?…クラスが同じなんだよね」
「そうなんだ。…どう?成桜。元気?」
「えっと…なんで?成桜と知り合いなの?」
一か八かで聞いたような浅原は少し緊張した様子で真桜を見つめていた。
俺的にもなんと答えるか気になるところだった。
双子とは言え、今はもう縁も繋がっていないものだ。
ピピピピ…ピピピピ…真桜が何か答えようとした瞬間真桜からスマホの着信音が鳴った。
「ごめんね!ちょっと僕帰るね。」
スマホの画面をぱっと見ると、慌てた様子で帰ると言って
走っていく真桜の背中を何も言えずに見送った。
「五條くん。もう大丈夫だよ。」
浅原の声にはっと気を取り戻して、路地裏からそっと出ると再び歩きだした浅原について行く。
お互い真桜に関して謎が多いと感じているのだろう。
何か話し出すかなと思ったけれど、
結局浅原の家に着くまで何も会話をしなかった。
浅原は何を考えていたのだろうか…
さっぱり分からなかった。
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