アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
バレンタインの思い出(?)1
-
《軍施設内の銭湯にて》
「皆さんってバレンタインデーとがめっちゃ
モテそうですよね~」
始まりは、無言に飽き飽きし季節感も何も無い話題を降った秋水だった。いつも通りのにやついた微笑を浮かべながら秋水はニヤニヤと俺たちを見回した。ほんと悪趣味なやつ……。
「貴方が仰ると、嫌味にしか聞こえませんね。
そんなのは貴方こそ経験があるのでは?」
浴槽のだいぶ隅で静かに湯に浸かっていた春菊が、目を閉じたまま興味無さげに呟き、深緑色の瞳にかかっている淡い黒髪を耳にかける。
…まぁそもそも答えてやる分だけお前優しいぞ。
約1名は聞いてないふりしてるぞ。
「春菊こそ嫌味じゃん?知ってるよ~この前も
告白されたんだって?」
「……。気持ち悪いくらい情報通ですね相変わらず」
細めを開け、無表情に春菊が秋水を睨みつける。
そんな表情すら見とれるほど綺麗なんだから、そりゃ告白三昧だろう。…羨ましくなんかない。
「告白?何時だ?僕は聞いていないが?」
洗い場の方から鋭い声。いつものように眉間にシワを寄せたラスクが春菊を睨む。
おぉ怖い…こいつは何でこう人当たりが強いんだ…
「申し訳ありません。局長のお耳に入れるほどの事 ではないかと思ったものですから」
「まぁその通りだよね~ラスク、春菊の恋愛すら
管理してんの?過保護だねぇ」
「どうせ断る意味の無い告白など無視して、有意義に仕事の補助をしろというだけだ!そもそも恋愛なんて生産性のないモノに時間を裂くな」
くつくつと楽しそうに笑う秋水にラスクは不機嫌そうに更に声を尖らせ、そっぽを向いてしまう。
「慈悲もない言い様だね。恋愛依存症の人が聞いたら勢い余ってラスク君を殺しそうだなぁ。
でも勿体無いよねぇせっかく美人なのに」
秋水はそう言いながら明後日の方向を向いたラスクに近寄り腰まで伸びた銀髪を手に取った。サラサラとその手からこぼれ落ちる銀髪は絹のように繊細で、ガラス細工のようにもみえる。
髪を触られた事に気付いたラスクがより眉間のシワを深め背中に垂れた髪を前へと流す。
絹糸のような銀髪に、淡い翡翠に色づく切れ長ながらも丸みを帯びた大きな瞳は彫刻のように整いきった顔立ちによく映えている。
男とは思えないほど色白の肌や、身長に見合わない細くしなやかな体躯といい、まさに生けた芸術品って感じで男の俺からしてもずっと見てられそうな。そんな存在が人嫌いの変人なのだから、神様も中々意地悪な事をするなぁと内心思う。
ついでに生まれてこさせる性別も間違えてませんかって聞いてみたいくらいだ。女だったら間違いなく一目惚れしてた。多分、誰もがそう思うだろうな…喋った瞬間崩れそうだけど。
「あらら…ちょっかい出しすぎて構ってくれなくなっちゃったか。そういや、黙ってるけどアスタさんやヒイラギ隊長はどうだったんです?」
「バレンタインデーなぁ…あんまいい思い出はないな。俺そんなにモテなかったし」
「ま、ヒイラギ隊長は良い友達、止まりなタイプですもんね。何となく知ってました」
「せっかく答えてやったのに喧嘩売ってんのか」
事実だから反論は出来ないが散々相手にされなかった話にちゃんと乗ってやってんのにこの扱いはなんかムカつく。ムスッとして秋水を睨むが、むしろ楽しいくて仕方ないというように笑われる。
「ふふ、ヒイラギ隊長って割と自分の顔甘く見てますよね。それ怖いんじゃなくてただ可愛いだけですよ?あんまやらない事オススメします」
「…はぁ?訳わかんないぞ」
そんな事を言われるものだから思わず首をひねると「これだから無意識は…」となんか秋水に呆れられる。…何だろう腑に落ちない。
「それ位が鈍感タラシには丁度いいんじゃねぇ?」
「誰が鈍感タラシだよこの野郎」
ずっと眠りこけてたアスタが俺を見下しながらニヤニヤとして言う。…何でこんな腹立つんだコイツ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 11