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やわらかい夢の中、何かに体を包まれる。
驚いて夢から飛び出すとそこは真っ暗な布団の中だった。
でも隣には当たり前のように小波くんがいる。
…寝返りかな。
そう思ったのと同時に少し大きな手が俺の腰へ触れたかと思うと、もう片方の手は頭をだきよせた。
小波くんの腕の中にすっぽりと収まるような体制になっている。
どういう訳か抱きしめられているらしい。
「…藍川さん。」
その呼びかけは多分、俺の返事を望んでいる呼びかけではなくて正しくは名前を呼んだという方が多分正しい。
俺はただ腕の中で眠っているふりをしていた。
「貴方が好きです、意味がわからないくらい。」
その言葉に驚いた。
好き、なんていうのは俺にはよくわからない。
それはlike?love?どちらとも違う?
俺は男で君は男だよ、なんてよくあるセリフを返すべきなのかすらわからない。
だから俺はまだ眠ったふりをした。
「…すみません。」
しばらくしてそう言うと、頭に触れていた手が遠ざかっていく。
何に謝っているんだろう。
俺にはきみの考えていることがあんまりわからない。
他人のことを考えるのは苦手だ。
あぁ、でも。
ここはヒトとして、藍川として。
少しくらいからかってやったっていいんじゃないか。
「小波くん。」
「ひ、っ…起きて、…?」
きっと俺は少しおかしい
「キスをして、ハグをして。…次は何がしたい?」
「次…?」
「きみの好きな藍川さんはなんだって応えてあげるよ。」
きみはいつまで俺を好きでいてくれるんだろう。
「俺、は……」
頬を赤くして、裾し目をそらした小波くんをみて"それでいいんだよ"と思った。
これで 終わりでいいんだ。
そう思ったのに。
1度瞬きしたあとの小波くんの目は月明かりでキラリと光ったかと思うと見たことのない顔をした。
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