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僕がやっちゃいけないこと。
朝寝坊。
寝癖をつけたまま部屋の外に出ること。
部屋にゴミを落とすこと。
食堂に最初以外に行くこと。
ご飯を残すこと。
咳、くしゃみ、しゃっくり、あくび。
うたた寝、風邪、体調不良。
嘘 冗談 作り話。
笑顔、泣き顔、喜怒哀楽。
僕がしちゃいけないこと。
「…藍、進むよ。」
「うん!」
「そうだ。ごめんね、今日は一緒に寝れないんだ。」
「どうして?」
「今日の朝、箸を落としたから。」
「…どうして?」
「お兄ちゃんが悪いからだよ。大丈夫、明日は一緒に眠れるように頑張るからね。」
「うん…!」
先生が嫌がること 全部。
毎日 少しずつやることとやっちゃいけないことが増えた。
朝起きたら藍を車椅子に乗せて朝の支度をしてご飯を食べさせる。
僕は藍にご飯を食べさせながら、自分のも食べなきゃいけない。
ご飯が終わったら藍の服を着替えさせて玄関までお見送り。
その後はお家中のお部屋の掃除。
みんなが帰ってくるまでに終わらせるのが約束。
終わったら藍をお出迎え。
藍の服を着替えさせて、ご飯を食べて、お風呂に入っておやすみ。
そんな毎日。
少しでも悪いことをしたら夜はお仕置き。
たくさん たくさん 怖いこと。
「服を脱げ。」
「…はい。」
いつも 同じ部屋。
小さな部屋に先生と2人。
入るのと同時に目隠しをされて耳だけで全部を見るの。
目が痛くて耳が痛くて心が痛くて。
言う通りにしないともっともっと怖いことをされる。
「憂くん。君を見捨てないでいてあげるのは先生だけだよ。…なのにどうして何も出来ないのかな。」
「…ごめんなさい。」
「何で出来ないのか、聞いてるんだよ。…頭が悪くて理解できない?」
「ぁ、……っ、と…」
なんで、って聞かれたら。
どうやって答えたらいいんだっけ。
早く答えないと お仕置きが増える。
ええと ええと
なんで出来ないかと言うと それは
「僕が、…馬鹿だから。」
「そうだね。もう一回言ってご覧。」
「…僕が馬鹿だから。」
「もう一回。」
「僕が馬鹿だから。」
そこまで言うと先生の手が僕のほっぺたに触れる。
生ぬるい手がゆっくりとほっぺたを撫でてから離れる。
離れた瞬間。
「ぅ"、っ…が……、っ…」
「あのね。」
硬い塊。
きっと、先生の手が僕の頬を思い切り殴る。
痛くて頭がクラクラして床へ倒れると髪の毛が上に引っ張られ無理矢理に起こされる。
周りが見えなくて 怖くて怖くて仕方ない。
「馬鹿は生きてる価値がないんだよ。」
「…ぅ"っ、ぃ…ひっぐ、っぅ…」
「泣くな。」
「ごめ、っんなさ、ぃっ…」
「泣くな。息を止めろ。 」
「ぅ、っ…」
怖い怖い、怖い。
助けて
僕が 馬鹿だから 僕が悪いから
「…憂くん。君はどうしてそんなに馬鹿なの?」
「それは、…っ…僕が、…いらない存在だから、…」
「そうだね。いらない子はどうやって生きないといけないの?」
「…人の、邪魔にならないように…っ生き、る…」
「うん。そうだよ。明日からはちゃんと邪魔にならないように生きれる?」
「はい…」
「約束だよ。次悪いことをしたらもっとお仕置きするからね。」
「…はい、ごめんなさい。」
もう 何も考えないでいれたらいいのに。
考えたら怖くなるから。
痛いも 苦しいも 悲しいも 怖いも
全部なくなっちゃえ。
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