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星の輝く夜に【ミカミナ】
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・現パロ
星の煌めく時間帯。とあるアパートの一室での出来事。
「いい加減にしてくれないか」
同居人のやけに冷ややかな声が部屋に響く。
怒気を孕んだ若緑の鋭い視線が此方に向けられ、思わず目を逸らしてしまう。
「タケミカヅチ、僕は何もこういったことをするのが嫌だと言っている訳では無いんだ。ただもう少し加減をしろと言っているんだ。理解できるか?」
「…はい」
「…はぁ、この台詞も君のその返事もこれで何度目だろうな」
「……すまない」
タケミナカタの御尤もな説教に唯正座をして謝罪の言葉を述べるしかない。
恐る恐る顔を上げれば、ベッドの上に座る彼の姿が見える。
鋭く細められた瞳からは憤怒の感情と共に多少の疲れが見て取れる。
皆様お気付きだろうが只今怒られている俺、タケミカヅチとベッドの上から俺を叱りつけているタケミナカタは、所謂恋人同士である。
それも片想いを拗らせ続け、猛アピールを繰り返し、同棲までこじつけ、最近になってやっと想いが通じたばかり。
長らく想いを一人募らせていた俺は、晴れて両思いとなれた事により、箍が外れた。
早い話が、毎晩のように盛ったのである。
昨晩も「これ以上は無理だ」「やめてくれ」の声を跳ね除け散々無体を働き、今夜も当然の如く襲い掛かって今に至る。
「今日という今日は堪忍袋の緒が切れた。これ以上君に好きにされる訳にはいかない」
そう言ってそっぽを向かれてしまう。
不味い、流石に嫌われてしまっただろうか。
なんとか彼の機嫌を取り戻そうとするも、気の利いた言葉一つ浮かんで来ない。
どうしよう。
「大体、これではまるで身体目的で付き合ったみたいじゃないか」
「え?」
全く働かない自分の頭に項垂れていると、先程までとは違う、どこか寂しそうな彼の声が耳に届く。
「僕は君の側に居れるだけで満たされるのに、君は違うんだな」
不貞腐れたような、それでいて健気な言葉に自然と体が動いた。
両腕で彼をしっかりと抱きしめる。
「えっ、ちょ、タケミカヅチ?」
「本当にすまない。君とこういう関係になれた事が今でも信じられなくて、少しでも実感を得たくてこんな事を。…そのせいで君を不安にさせてしまったな」
「………」
思いの丈をぶつけると、そっと頭を撫でられる。
「君は本気に馬鹿だな」
「ば、馬鹿って」
「馬鹿だよ、大馬鹿者だ」
腕の力を緩めて彼の顔を見つめる。
此方を馬鹿だと罵る彼は、この上なく優しい表情をしていた。
「そんなに心配しなくても僕は君の元を離れたりなどしない」
頰に手を当てられる。
「僕だって君のことが好きなんだからな」
この時やっと、二人の想いが通じ合えたような気がした。
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