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びっくりした。漫画の中から飛び出してきたのかというほど整った顔立ち、立ち姿。
…綺麗だ。
ただただそう思った。
女性的、という訳ではない。なんというか、一つ一つの所作が美しいのだ。艶かしい、と言った方が正しいかもしれない。
加えて、登場の仕方。少し埃っぽく暗めの部屋に、太陽の光を背に受けながら入ってきた。どこぞの王子様かと思った。いや、和服が似合いそうな美人だからお殿様?…なんか違うな…。
と考えを巡らせていると、途中で言葉を切った俺を疑問に思ったのか、その男は軽く首を傾げながら口を開いた。
その動作も綺麗だなぁ、なんて。
「こんにちは…えっと、ここって古書店で合ってますか?」
その言葉に自分の状況を思い出す。
そうだ、今は店員なんだからしっかりしないと…!
「も、申し訳ありませんっ…!合ってますよ、村田古書店へようこそ!お探しの本などございましたらーー」
ぎゅるるるぅ
結構な音量のお腹の音が響き、俺の言葉は途切れた。
今日はよく言葉が中断されるなぁ、と他人事のように心のどこかで思いながら、接客用の笑みを顔に張り付けたまま目の前の男を見つめた。
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