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03> 初対面なのに2
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サイン会当日になった。楽しみにしてたから、なかなか時間が過ぎなかったのは秘密だ。
「おはよーございますーっ」
「あ、おはようございますーっ」
ヲタク同士の笑顔の挨拶。
(ちなみに、これを忘れると、あとでやばい。マジでリンチかけられる)
その後で長い行列に並んだ。やっぱり、人気な北村さんには、長蛇の列ができるんだな、と感心してしまう。
そして、その遥か遠くには、憧れの北村さんがいた。
……一時間後。
やっと、僕の番になった。ずっと待ち遠しかったこの時間が、やっとやってきた!!
笑顔の北村さんが目の前にいる。
緊張で、動悸がとまらない。
「あっ、あのっ、隆明さんの絵はとても綺麗でっ、憧れなんですっ!!」
そういいながら、色紙を渡した。男のくせに、どもるとかかっこ悪りぃ!! 嫌な印象、持たれていないだろうか……。
ドキドキ……!!
すると、北村さんが爽やかな笑顔で、
「そうなんだ。 ありがとね、俺の絵を好いてくれて」
と返してくれた。
バクバク。
心臓の音がうるさい。なんか、顔があつい。やっぱり、憧れの北村さんと話せてるからかな?
そうこうしてる間に、隆明さんがサインが書かれた色紙を渡してくれた。サインの隣には、可愛らしい女の子のデフォルメも描いてくれた。確か、前の人には描かれてなかったから、ちょっと特別な色紙をもらえた気分だ。
でも、なんで僕だけ、そんなのを描いてもらえたんだろう?
「ほら。 これからも俺の絵、みてね」
ま、いっか。サインもらえたし、北村さんに会えたし。
「あっ、ありがとうございましたっ!」
僕は、色紙を抱えて列を出た。僕の後ろにも、まだまだ長い列は続いていた。
サイン会の列を出て、近くの公園のベンチにすわる。
そして、色紙のサインを眺めていた。
動悸はまだ早くて、顔があつい。やっぱり、北村さんの女の子可愛い……それに、筆記体のサインとかカッケー!!
そして、舐めるように色紙を見ている時に、ふと端をみて、なにかが書いてあることに気づいた。
それは、サインとかのマジックとは違った鉛筆で、とても小さな字で書かれていた。
目を凝らして、読んでみる。
【後で、 控室にきてくれないかな?】
それは、北村さんの文字だと思われた。
「えっ、ええええー!?」
なんで、えっ!! どうして?
というか、いつの間に書いたんですかっ、気づかなかったー!!
とりあえず、憧れの北村さんのお誘いは断れない。もしかしたら、僕が何かやっちゃったのかもしれないし……行かなかったら、後で大変なことになったら困る。
なんだろう?
そう思いつつも、さっきのサイン会の控室に向かうことにした。
といっても、場所がわからない。
近くにいた関係者らしい人に色紙に書かれた文字を見せると、笑顔で控室に案内してくれた。
そして、その人はこういった。
「隆明さん、あなたのこと待ってたよ」
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