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10> 卒業式7
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「……う、るさいですーっ!!」
不覚にも、キュンとしてしまった。
そんな想いを隠すかのように、大きな声をあげる。
こんなやり取りをしていると、先輩が卒業したのなんて、嘘みたいに感じられた。
――嘘だったらいいのに。
そう思った。
「ねぇ、先輩……」
「ん、なんだ? 告白か?」
先輩が笑いながら言った。かぁぁっと顔が赤くなる。な、なんで……!
「ち、違います! その、本当に卒業しちゃうんですよね…?」
先輩の方を見る。卒業式もやってたのに、やっぱり実感が湧かなかった。
「あぁ。でも……寂しくねぇだろ、どうせまた会えるし?」
にこっと微笑む先輩。
そんなの無理だ。家も遠いし、会えるわけない。
先輩は励ますつもりでいってるのかもしれないけど、俺には辛いだけだ。
「……本当に行っちゃうんですかぁぁ……?」
口から出てきた声は、なぜか涙声だった。
目の下を温かいものが伝う。
な、なんで泣いてんの、俺!
せっかく、先輩は明るくしてくれてるのに!
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