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10> 卒業式8
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「ん、…そうだな」
先輩の顔が曇る。申し訳なくて、うつむいてしまった。先輩……好きなのに、もういなくなるんだ。
悲しくて、涙が止まらなかった。
「……せんぱっ…!?」
『さよなら』を言おうと顔を上げる。と、温かいものが口に当たった。
それはすぐに離れていく。でも、俺の唇にはまだ暖かさが残っていた。
「ごめんな。でも、大丈夫だから」
先輩が、俺を抱きしめる。
どんどん体が温まっていって、涙が引いていくのがわかる。そして、徐々に顔が赤くなっていくのも分かった。
「……ずるいです、先輩」
涙は引いてるはずなのに、まだ涙声の俺。先輩がここまでしてくれても、やっぱり俺は素直になれなかったみたいだ。
「ずるくねぇって。な、お前も俺のこと好きだろ?」
先輩がにやっと笑う。
「す、好きですよ!」
そう言って、すぐに顔をそらした。は、恥ずかしい……! 告白って、こんな恥ずかしいんだ。
「素直じゃねーなー」
「なっ、十分素直ですー!」
ぎゅーっと先輩を抱きしめて、キスし返す。恥ずかしかったけど、これで素直になれる気がした。
先輩は、驚いて俺をみていた。一言も声を発してくれない。
「なんか反応してくださいよ! 頑張ったんですから」
「あ、あぁ。偉いえらい」
先輩は、微笑むと、優しく俺の頭をなでた。なんか、子供をあやすみたいに……。
「本気なんですからねー!」
「分かってるって」
にこっと笑う先輩。
もしかして、今日俺が告白するのも知ってたんじゃないか。
そう思うほど、先輩は最後まで余裕だった。
……なんか負けた気がして腹立つーー!!
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