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授業が始まっても
俺の頭は琉衣と愛斗の事ばかり…
授業なんて耳に入ってこなかった
気づけばもう昼休みで
紘の声によって俺は我に返った
「歩夢、本当に大丈夫?授業中ずっと窓の外見てたよ?」
「あー…大丈夫大丈夫」
「…ならいいんだけど…無理しないでよ?」
「あぁ、ありがとな」
俺はぎこちない笑顔を
紘に向けた
本当は笑ってなどいられない
でも、笑うしかない
「歩夢〜!」
俺がそんなことを思っていると
ふいに俺を呼ぶ声が聞こえた
振り向くと愛斗がこちらを見ていた
俺を呼んだのは愛斗らしい
「どうした?俺に何か用か?」
「うん。少し2人で話がしたいんだ」
「…あぁ。分かった」
珍しく愛斗と2人きりになった
屋上へ向かう途中
俺たちの間に会話はない
そして屋上に着くと
愛斗が俺を見て話し始めた
「ごめんね。いきなり呼び出して」
「いや、大丈夫だよ。んで?話って何?」
「うん…実はね…歩夢にお願いがあるんだ…」
「お願いって?」
愛斗は俺の方を見ず
うつむいていた
そしてそのまま
愛斗は言った…
「…僕…琉衣の事が好きなんだ。だから歩夢に協力してもらえないかなって…」
「…っ?!」
愛斗が琉衣を好きなのは
何となく分かってた…
でも、協力って?
俺にお前の恋を叶えるために
協力しろってか?
ふざけんじゃねぇ…
「…何で俺なんだ?俺じゃなくても他にいただろ。紘とか」
「歩夢じゃなきゃダメなんだよ…」
「何で?」
「だって…琉衣と1番近そうだから」
「…近い?」
「うん。幼なじみなんでしょ?だから歩夢なら…って…」
違う…俺は近くなんかない…
むしろ遠いんだよ
手を伸ばしたって届かない…
それくらい俺と琉衣は遠いんだよ…
「…ダメかな?」
「まず、自分で努力してみろよ。それでダメなら…」
何言ってんだ…俺は
協力なんてしたくないくせに
また嘘つくのか…自分の気持ちに
「…もう十分頑張ったと思うんだ…だから歩夢にお願いしたんだよ」
「……俺に頼んだところで…何も変わんねぇと思うぞ?」
「それでもいい。だからお願い…協力してくれないかな…?」
「……………」
ふざけんなよ…
何で俺がそんな事しなきゃなんねぇんだよ…
何で自分の好きな人と他人が
付き合うのに協力しなきゃなんねぇんだよ…
嫌に決まってんだろ…
「…歩夢?」
「…………うまくいかなくても…文句言うなよ」
「言わないよ。協力してくれるだけで十分だから…」
「…分かった。協力してやるよ」
「本当?!ありがと、歩夢!」
ははっ…何やってんだ俺…
またやっちゃったよ
俺は嘘つきだな
琉衣と愛斗が付き合うまで
俺は嘘つきでいる事にするよ
こんな俺を許してくれ…
ルンルンな愛斗とは逆に
俺のテンションは下がる一方だった
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