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story.03 あふれる思い
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週が明け、俺は学校に向かっていた
「歩夢、おはよ」
「おはよ、紘」
いつものように
紘と一緒に登校する
最近では、琉衣と愛斗とは
一緒に登校しなくなった
「ねぇ、歩夢」
「ん?」
「…無理しないでね?」
「分かってるよ。ありがとな」
紘は不安そうに俺を見つめた
その瞳はどこか悲しげに揺れていた
「まーくん、あんな子じゃなかったのにな」
「…え?」
「もっといい子だと思ってた。でもそうじゃなかったね、残念」
紘は見えない誰かを睨みながら
そう呟いた
「…まーくんの事…好きだったのにな」
「…………」
「もちろん、友達としてだけど」
「分かってるよ、そんな事」
紘はニコッと微笑んだ
その時、俺たちの横を誰かが通りすぎた
「…………」
楽しそうに話しながら
幸せそうに笑い合いながら
俺たちの横を通りすぎていった
琉衣と愛斗
「…っ!」
胸が苦しくて…痛い…
思いがどんどんあふれてくる…
「…好き…だよ…」
「…歩夢…」
隣に紘がいるのに
俺は琉衣を見つめながらそう呟いた
気づいたら俺の目から
涙がこぼれていて
「ははっ…バカだな、俺…」
「そんな事ない」
「いいんだ、紘。それより急がねぇと遅れるぞ!」
「…う、うん…」
俺は目に涙を滲ませながら
笑顔を作った
紘の手を引っ張り
学校へと急いだ
あふれる思い…
こぼれ落ちる涙…
それに気づかれないように
俺はただ前を見て歩いた
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