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お泊まり会6
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【千秋】
せっかく楽しく終わるはずだったのに、学生時代の出来事が衝撃的過ぎてわだかまりになる
そんな俺を落ち着かせるために話し出した冬弥
遠い目をしながら、朧気な記憶からなんとか引き出そうと必死に言葉を紡ぐ
「冬弥……それ、俺知らなかったよ…部長が自分のこと好きだったってわかんなかったの?」
それなりの目線やアプローチがあったはずなのに、全く気づかなかったという…そんなことってあるの?
疑問に思っていると、それに気づいた冬弥は即答えてくれる
「俺はずっと千秋しか見てなかったから…」
ぼんやりとした照明の中で、気恥ずかしそうに俺を見る
だから…その目はズルいよ…
同じく頬を染めながらも、真相を早く確かめたくて催促する
「冬弥はなんて答えたの?」
聞かずともわかりそうな展開
あえてそこは冬弥の口から直接聞きたかった
「好きな人いるから…ごめんなさいって」
やっぱりね!そうだよ、当然だよ!
わかっていたけれどやっぱ改めて聞きたい言葉…
「そ、そっか…うん」
ニヤける顔…俺ってなんなんだよ!
満足だった
本当にそれだけでも良かったんだ
だから、その先までは想像すらしていなかった
満足感に浸る俺に、続きが待っていた………
「納得してくれたって思ったんだけどさ、」
……………?
「どうしても一回だけでいいから、デートして欲しいって言われて…」
ホッと撫で下ろした胸…再び不安で支配される
「や、やだっ!ダメ………そんなの、絶対…やだよぉ……うっ」
とうとう泣いてしまった俺
冬弥は俺の………っ
学生時代の出来事なのにこんなにも取り乱すなんて
自分でも抑えられないほどに動揺してしまった
生放送中だったら完全にアウトだったなこれ…
それくらい一気に不安が押し寄せていた
もう終わったことなのに
「待って、違う、そうじゃなくて、だから…ちゃんと聞いて?」
抱きしめながら頭を撫でて落ち着かせようとする
冬弥の温もりが、乱れた心を癒してくれていた…あぁ心地いいや…
俺は続きを冬弥の胸の中で聞く
「デートなんて出来ない、だから諦めてくださいって言ったの…そしたら、そっか…って」
「あ…きらめた…の?」
「うん、俺が誰かを見ているのに気づいてたみたいでさ…」
「……へ?」
「だ、だからぁ…その…俺が千秋を見てたってこと!」
胸に埋めていた顔を強引にあげると、そこには真っ赤になってなんとかしようと必死になっている冬弥がいた
「冬弥…お前、一体いつから俺のこと…」
「………高校入ってすぐの体育祭…の時から…」
ポカンとした俺に、わかんなかったの?と言わんばかりの冬弥が、焦ったようにそっぽを向く
「なっ///そんなに前からっ……嘘…///」
「雨で中止になって、俺が早退した日…お前さ、俺と一緒に図書館に付き合ってくれたの、覚えてない?」
そういえば………確か、あの時はなんだか元気の無い冬弥が心配で、持ってたゲームを貸したような…?
古い記憶を手繰り寄せ、あの時の情景を思い出す
「お金なくて買えなかった俺にゲームを貸してくれてさ…それで、お前俺に笑顔で微笑んだの、めっちゃいい笑顔だった…ドキッとして、それからとにかく気になって…」
照れくさそうに話すのに、なんだか嬉しそうな冬弥
あの当時の自分を、俺を好きだと気づき始めた時の思い出を楽しむかのように…
「だからずっとそばに居てくれたの?」
いつも気づけば隣にいた冬弥
仲間だから、友達だからと俺もいい聞かせていた学生時代だった
心のどこかで、冬弥が自分のこと好きでいてくれたら楽しいだろうなぁなんて…
「じゃ、じゃあなんでその時に言ってくんなかったの?」
あぁ…出来ることなら戻りたい
「もし千秋に嫌われたら…離れていくかもしれないってビビってたんだ…」
まぁ…普通はそう思うだろうな…
俺が逆の立場だったとしても、同じことを思ってしまうだろう
今さらだけど
あぁ………本当に戻りたい……
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