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俺の冬弥
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【千秋】
冬弥の不安が痛いほどわかる…
無理に笑顔を作る姿に胸が苦しくなった
口では大丈夫と言って安心させてくれる冬弥
でも本当は………
「千秋…」
俺を呼ぶ声が微妙に震えている
いつもの落ち着いた低音ボイスのはずなのに…
ここで自信持って違うと宣言できれば何の問題もなかった
不覚にも感じてしまった自分がいた……
俺は尻軽なのか?
俺もまた、冬弥と同じく葛藤していた
自問自答を繰り返すも、気持ちは全くと言っていいほど晴れない
当たり前と言えばそうなるけれど…
そう言えば、2人で暮らそうと言って色々買ったペアグッズはいつ来るのだろう…
あれが来れば、少しは違うのかな?なんて、変わるはずも無いことくらいわかっているのに…
まるで逃げ道を探すように、俺は冬弥との時間を思い起こしていた
どれくらい時間が経ったのだろう
気がつくと、冬弥の姿が見えない
ボーッとしていたのかもしれないが、居なくなったことすら気付かないなんて!
「冬弥!どこ?……冬弥!」
我に返り、周りを見渡して慌てて探し回る
ドアはどこも開けてみたけれど、誰かがいる気配すら感じない
嘘………冬弥!
泣きそうな自分をなんとか保とうとする
まずは冷静に……だってここは冬弥のマンションなんだから
ガチャガチャ
玄関先で鍵を開ける音がする
「冬弥!」
「へ?うわ、何、なんかあったの?」
まだ靴を脱いでいる途中の冬弥の元へと勢いよく走っていった
「気づいたら冬弥居なくてっ、つか、どこ行ってたんだよ!」
ボーッとしていたとはいえ、一言あっても良かったのにと言うと、俺は了承して頷いたらしい
「まぢで?俺、どんだけなんだよ……ごめん、で?どこ行ってたの……それ…」
「うん、そこのコンビニだよ、腹空いたろ?今、冷蔵庫に何もなくて」
いつもの優しい冬弥が笑っている
何も解決していないけれど、目の前にいるのは間違いなく俺の冬弥だ
「冬弥…うん、お腹空いたな!」
そう言って買ってきた袋の中身を見ながらリビングへと向かった俺
「これ、美味そうだけど……」
「ん?」
「ご飯がいるって………」
「あ…………忘れた!」
やっぱり天然の冬弥
笑い合って、もう一度コンビニへと向かったのは……
少しだけ、いつもの俺たちに戻れたんだ
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