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誰想う3
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【冬弥】
『明日はジャケット選考』
携帯の予定表を見ながら溜め息をつく
仕事とは言え、スタッフとの会合は正直めんどくさかった
「千秋、夕方には戻るから…帰ったら食べに行こ」
「うん、わかった」
千秋との外食なんてたくさんしてきた
それなのに、誘うだけで緊張するのは…今の状況があまりにも不安定だからだ
たまには思考を変えてみるのも新鮮な気持ちになれるかもしれない
「仕方ない、さっさと終わらせるかぁ」
いつものカバンを手に、気乗りのしない資料を詰め込んだ
【千秋】
久しぶりにデートっぽい
俺も明日はカメラ機材を見たくて外出予定だった
じゃあその後は…なんて考えていたら、タイミングよくラインが来た
『千秋、明日会えない?』
一瞬ラインを閉じた
冬弥を見ると、明日の準備だと言ってカバンを取りに行く後ろ姿
やましいことをしているような感覚はなんだろう
これは知られたらダメなんだ…
どこかで制御する
こういうブレーキは必要なのか?
見えない所で返事を打った
『わかった』
何をしているのかな…
公の場で会うのなら問題ないだろ?
でもそれは…なんで冬弥に言えない?
何故だろう…
わからないならやめとけ
なんの葛藤なのか
やってることはとてもじゃないが誉められたもんじゃない
自制が効くならさっさと引き返せ
くだらないやり取りを、俺の中の誰かが戦っていた
いつもの冬弥が居ない…そんな思いを残していれば、自然と誰かにすがりつきたくなる
理由なんてそんなもんなんだ…
陽人の会いたいの意味を想像していた
俺と同じなのか…それとも単なる友人としてなのか…
陽人もまた苦悩しているに違いない
じゃなければ、こんな危険を冒してまで会う必要などないのだから
「はぁ…俺は何がしたいんだよ…」
携帯を握りしめ、冬弥の入っていった部屋へと向かった
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