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俺たちの選択4
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【千秋】
本当にこれでいいの?
俺はもう冬弥とはやり直せないのかな?
ずっとそばにいてくれた冬弥
裏切ったくせに、常に頭の隅には冬弥がチラついて離れなかった
陽人のことが好きなのも間違いなかった
嘘は言っていない
「今夜伝えるから」
約束したけれど、俺はまだ迷っていた
陽人は俺を愛してると言った
俺もまた愛してると伝えた
落ち着ける場所だった
最近の俺たちは常にどこかギクシャクしていた
情けないけれど、心底落ち着ける場所ではなくなっていた
あんなにも誓い合った仲だったのに
陽人と一緒にいる方が楽だ
でも、それって…本当にそれが理由になるのかな?
苦しくても悲しくても、それでも一緒に居たいと思えることこそが本当の気持ちじゃないだろうか…
もし今別れたとしても、やっぱり思い出が支配して辛くなる
だけど、このまま一緒にいても辛いのも事実だった
俺はどうすればいいんだろう…
いつの間にか、自宅近くの公園まで帰っていた
街灯がぽつんとだけ照らしていたベンチに腰掛けていた
そう言えば携帯…
開いてびっくりした
冬弥からたくさんの着信
ラインも不安そうな内容が書かれている
『ごめん、考え事してたよ、もうマンションの近くなんだ…もう少ししたら帰る…』
送信ボタンを押そうとした時だった
「千秋!!!」
「…と、冬弥…うわっ」
「バカ!心配させんなよ!なんで早く連絡…いや…良かった…千秋、無事で良かった…頼むから心配させないで…」
泣き叫びそうな…いや、涙でくしゃくしゃの冬弥が俺にすがりつく
いつになく強い力で俺を抱きしめている
「…ごめ、とう…や、苦しっ」
「あ、ごめん…つい」
相変わらずの冬弥だった
見れば、ふわふわの髪の毛が涙で張りついている
「冬弥、顔が…ありがとう、心配してくれてたんだ…」
嬉しかった
冬弥の顔を見れば、俺のことを心配していたことが痛いほどわかる
気づいたら、俺は冬弥抱きしめていた
そして、俺もまた泣いていた
「帰ろ、俺たちの場所に…」
繋いだ手は、いつもより温かくて、ずっと昔に繋いだ手に似ていた
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