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本音を聞かせて2
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【陽人】
そういうつもりじゃなかったんだけど…
「千秋を想って抱くなら、俺は冬弥に抱かれる」
そりゃそうだ
俺が逆でもそうなるだろう
だけど、俺は千秋だと思って抱こうとは思っていなかった
千秋のことを忘れられないのは仕方がないが、夏生は夏生だし、千秋にはなれないのだから
だから俺は素直に伝えた
夏生を愛してるからこそ俺は夏生に欲情したのに
「愛してるのは夏生だよ、俺は夏生を選んだんだ、お願いだから信じて夏生」
そこまで言うなら夏生だけって言えば良かった
だけど、それもまた嘘になるから、ここで変に几帳面な性格が出てしまう
「千秋じゃなくて、俺を見てよ…」
「見てる、俺は夏生を見てるよ?」
泣きじゃくる夏生を抱きしめて、落ち着かせるように撫でてあげると、安心したのか寝息を立てる夏生
「あ、寝ちゃった…まぁしょうがないか、こんだけ泣いてたらね…自分でやろ」
男の本能って厄介なもので、こんな状況でも溜まるものを吐き出さないと辛くなる
緊張しながらもなんとか出し切った俺
こんなに可愛い恋人の隣で自分で欲を満たさなければいけないなんて…さすがにちょっと虚しくなってしまった
「それにしても…夏生は綺麗だよな…俺なんかのどこが良かったんだろ…めっちゃモテてたのにね」
独り言は、いつも通り口から出てしまう
昔からだから特に気にしなかった
だから、まさか夏生が聞いていたなんて思わなくて…俺はその後からもどんどんカミングアウトをしてしまう
「夏生、俺さ、東京に初めて来てくれた日にね、もしかしたら俺の事好きなのかななんて思っててさ…だから、そういうことになったらと思って色々準備してたんだよね…意外だろ?」
結局取り出せなくて閉まったままになっていたけれど、こういう関係になってからはどさくさ紛れに使ってしまった
「ついでに言うとね、誰かと練習でもしとくかなぁなんて思っててさ……」
言いかけた時だった
「やだ、それはやだっ、ダメ…練習なんてしてないよね?」
突然飛び起きた夏生にびっくりした俺は、さっきまでの話を聞かれていたのかと真っ赤になってしまった
「あ、な、夏生、待って、話を…聞いてたの?」
やばい、どこからだろう…まさか……
「んとね、めっちゃモテてたのにね、辺りからなんか声が聞こえるなって思って…そしたらいっぱい知らないこと話してくれた」
「うわぁ、いやぁ、なんでそこでなの…」
一人で出したことはバレてないようだけど、それよりも散々カミングアウトした後だった
恥ずかしくて逃げたくなってしまう
でも、なんとなくすっきりした自分がいる
「俺の事…結構前から意識してくれてたんだね、ふふ陽人ぉ」
微笑む夏生にドキッとしていた
そうだった、俺はそれなりにそうなることを望んていたんだ…
初心に戻っていくような感覚…
お互いに好きで好きで仕方なかった頃
「夏生…あの時はね、もしかしたらなんて思っててさ、だって俺の事好きオーラ出てたからさ…」
「そ、それはだって、俺は…や、恥ずかしくなってきたじゃん、陽人のばかぁ」
ある意味恥ずかしい俺たちだった
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