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サポートミュージシャン
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pink motor pool、専ら『pmp』と略されるそのユニットは、ギターボーカルの木田悠とベースの前島弘介の2人からなるロックデュオである。
学生時代から2人は常に固定メンバーだったが、ドラムは都度助っ人を頼んでいた。卒業後に本格的に音楽活動をする時も、ドラムは固定メンバーであったりサポート扱いであったりした。
ドラムが安定しない主な要因は、ドラマー自体が掛け持ちが多いことと、木田の情緒不安定さと酒癖に付いていけなくなることにある。
5年以上辛抱が持てば扱いもおおよそ分かってくるが、その5年が辛い。6年耐えた相方の前島はそのことを理解していたので、なんとしても正式なドラマーを入れたいという思いは無かった。
そしてそのまま、2人のユニットとして今の事務所にも登録したのだ。
そのため、レコーディングやライブの際にはサポートドラマーを呼ぶことになる。今回のレコーディングに参加しているのは、持田一也という男だ。
持田はpmpとほぼ同期くらいの芸歴を持っているが年は2人よりも下であり、pmpに対しては雑な敬語で接していた。
人懐こい性格で、木田がイジりがいのある人間と分かるや否やイジる後輩という立場に身を置き、時々木田にどつかれながらも2人に打ち解けた。
酔っ払った木田にもついていけるので、前島はもっと早くこいつと会えてれば良かったと悔やむこともあった。
「はい、俺のお仕事大体終了。お疲れ様で~す」
今回のドラム録りが全曲終わりチェックも一通り済むと、持田は自分で言って手を叩いた。
「大体予定通りですね、お疲れ様です」
櫻井が労いの言葉と共に持田と握手を交わした。
「どうも~、で、俺あしたは休みみたいなんで、お二人お借りしてよろしいです?」
「……まぁ、木田に飲ませ過ぎなければ」
「かしこまりました、木田さん前島さ~ん、というわけでこの後飲み行きましょ」
「おー、いいよ」
何時に終わるか分からない酒宴の予感で、桜井は笑顔をひきつらせた。
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