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サポートミュージシャン -6-
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「着きましたよ、木田さん……って寝てますか」
「ん~……」
昨日のことを思い出しながら歩いていたら、木田が自分に寄りかかって、ほとんど寝ているような状態で歩いていることも気付かなかった。
それにしても、昨日は前島に少し喋りすぎただろうか。酒の席でまで室井を気にして、すぐに帰ったりなんかして癪に障ったし、勢いでつい当たってしまった。
それでも構わないか。おそらく今日のことが終われば自分は干されるのだろうし、木田もきっと自分を軽蔑して、今までのようなバカ騒ぎはもう2度と、出来なくなるんだ。
「そのまま布団運んじゃいますよ」
アパートの鍵を取りだす前に、木田の腕をしっかりと肩に背負い直した。改めて木田の体の熱を感じていると、一瞬感じた葛藤が吹き飛んだ。
欲求というのはしばしば厄介だ、人生のスパンで見たらどう考えても一夜の過ちですまないことと分かっていても、目先の欲求を満たさずにはいられないこともある。
どうせなら好き放題やってやる、それくらいにはこっちもムシャクシャしてるんだ。
臍の下の方が欲望でジンジンと熱くなってきている。あとは自分のご主人のお心のまま、と持田はアパートのドアを開いた。
まだまだ若手で、決して稼ぎがいいわけではない持田の部屋は狭い。加えて、本人の使い方により綺麗にもなっておらず、余計に手狭になっている。
玄関を上がればユニットバスとキッチンが、人1人通れる幅の通路を挟んで向かい合う。
そこを超えて磨りガラスの嵌った引き戸を開けた先は、6畳間程度のフローリング風マットの部屋。
普段は窓際に練習用のデジタルドラムセットが組み立てられているが、今はそれが予め敷いておいた布団のために、脇に追いやられている。
持田は木田の靴を脱がせた後に自分も靴を脱いで、木田を部屋の中まで引きずった。
「はいっ、じゃ~もう寝ましょ~ね」
持田は1組だけ敷かれた布団の上に、担いでいた木田もろとも雪崩れ込んだ。
2人で横になって木田の顔をじっと見つめる。
木田は完全に眠っているようだが、こうして目を閉じると長い睫毛が良く映える。少し長い髪が乱れて顔に無造作にかかるのを見つめて、持田は思わず喉を鳴らした。
「木田さん……」
持田は起き上がり、木田を仰向けにひっくり返して、腹よりも少し下の位置に乗った。
「いつもはどーだか知りませんけど、生憎俺はいっつも『上』なもんで」
木田の瞼が少し動いたが、はっきり起きる様子はない。
「それじゃあ木田さん、脱ぎましょ」
木田のシャツのボタンに手をかけて、1つ1つ綺麗に外していく。
長い間憧れを持ち続けてきた木田を脱がせていくのは、まるでプレゼントボックスのリボンを紐解くような気分だ。
シャツをはだけで軽く木田の肌を撫でる。鍛えてる様子はないがそれほど肉も付いておらず、腹筋の辺りは少し硬くなっていた。
木田のベルトのバックルに指をかけながら、持田は木田の顔にゆっくりと自分の顔を近付ける。
口の中に舌を突っ込まれたらさすがに起きるだろうか。反射で噛み切られたりしないといいが。
そう考えながらも、その唇を奪うことが何よりの最優先事項だと疑わず、半開きの唇に唇を重ねようとしたとき。
「あ」
木田の瞼がピクッと動いたかと、思うとゆっくりと瞳が現れた。
当然、その目は持田の目と、ごくごく至近距離で合わさる。
持田はその距離から動けないまま、このまま行こうか一度離れようかを考えていた。
すると木田が唸りながら目をギュッと閉じたかと思うと、持田の肩に両手がかけられ――。
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