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木田、大失態 -3-
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どけ、ブス。
その言葉と共に香月は押し退けられ、ソファから床に転がされた。
シンと静まりかえる店内。
木田と香月、そして室井に集まる視線。
「木田てめえええぇぇぇぇえっっっっ!!!!!なぁにを言っとんだおのれはあぁっ!!!」
「バカかてめぇはこらああぁぁぁっ!!!」
最初に絶叫してダッシュのスタートを切ったのは櫻井だった。すぐその後に続いて前島がすっ飛んで行く。
木田はと言えば、崩れ落ちそうになっていた室井の体勢を立て直している。
「木田ああぁぁっ!!!謝れぇ!さっさと謝れぇっ!」
櫻井は木田の襟首を引っ掴むとソファから引きずりおろして、床に木田の頭を打ち付けた。
「すいませんすいませんすいません!こいつだいぶ酔っ払っておりまして!おそらく目も大して働いておらず!そもそも自分が何言ってるのかもよく分かっていないんです!!」
「香月さんごめんなさい!!本当こいつバカで飲んだくれで泥酔するといっつも訳わかんないこと口走ってるんです!絶対これも本心じゃないですから!」
木田の頭を打ち付けるのに合わせて、櫻井自身もおでこを床にぴったりと付けて土下座する。前島もその隣で、床に頭をずっと付けたまま早口でまくしたてた。
香月は少々震え気味にゆっくり身体を起こした。ギリギリ笑顔を保ってはいるが明らかに口はヒクついているし、眉間に皺ができている。
「あのさ、いいよもう、顔上げて」
櫻井と前島が恐る恐る顔を上げる。起きてこない木田の頭を櫻井が起こさせると、既に失神していたようで、櫻井はしまったと思った。
香月がもう一度口を開く。
「ちょっと俺……社長に用事があるから」
「ああああああああああ!!!!!」
立ち上がろうとする香月の前に櫻井が這っていってもう一度土下座した。
「申し訳ありません!本当にこちらの監督不行き含め申し訳なく思っておりますので!!木田にも今一度謝罪する機会を!!!」
櫻井の振り切れ方に少々前島は戸惑いつつも、自分も隣まで行って頭を下げた。一方木田はすっかり伸びている。
「ふーん……」
上から香月が見下ろしてくる。
「香月さん!こんなん相手にする必要ありません!!もう帰りましょう!」
こっちに鼻息も荒く近づいてくる人物が1人いる。先ほど前島はその男が自分と同じ席で、香月の近くにいるのを見た覚えがあった。
「岡林、お前は出しゃばってこないで」
「でも……」
「今は木田くんも起きてないし、この話はまた今度、ね?」
「っ……はい!」
櫻井は顔を上げてほんのわずかに表情を明るくさせたが、返事と同時にまた頭を床に付けた。
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