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優しい人にも棘はある。
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「あの、圭吾さん……本当ごめんなさい……。」
ひと通り片付けを済ませ、もう1度深く頭を下げる。
あのあと、圭吾さんは安心したような顔をして、片付けておいてとだけ告げてキッチンへ入って行ってしまった。
どうしてももう1度謝りたくて、気まずいとは思いながらも謝りに来たのだ。
「いや、俺も大きな声を出してごめん。怯えさせちゃったね」
笑ってくれた…。
そんなに怒ってないのかな……?
「でもあのカップ、結構貴重なものなんだよなぁ……」
……え?
「お、おいくらでしたか、……?」
「15万円」
15万円っっっっ!?!?
「に、有名な海外アーティストのサインが入ってたから……今の値段の6倍くらい?」
「6倍……ろく、…6倍っ!?!?ど、どうしよう……」
そんな大切なものだったんだ……!!お金はあるけど……払ったら俺の生活費が無くなる…!
「あのっ、俺…今お金なくて。数回払いでいいなら弁償させて下さい……!!」
「う~ん…別にそこまでしてくれなくても」
「お願いします!せめてお詫びだけでも……」
「……………………そこまで言うなら仕方ないなぁ」
「ッ!それじゃあ……」
ぐいっ
驚きで瞑った目を開けると、圭吾さんの顔が間近にあった。
「そんなにお詫びをしたいなら、俺のお嫁さんになってよ」
そう言って彼は、とても美しく、悪戯っ子のように笑った。
「……………………は?」
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