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甘すぎない新婚生活
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朝の俺はだいたい不機嫌だ。
「あっやばい!圭吾さん、僕学校行ってきます!!お昼ご飯は冷蔵庫にあるのでチンして食べてください~!行ってきます!」
「ん~……いってらっしゃい……。」
起きたばかりで重い足をリビングへと動かす。
数日前から居候の輝が毎朝起こしてくれるようになった。
控えめに体を揺らして、聞こえるか聞こえないかの小さな声で起こしてくる。
数日一緒に過ごしていてもまだあんなに懐いてくれないようじゃ、この先が思いやられるな……。
そんなことを考えながらテーブルに置いてあったコーヒーを飲む。俺の好きな銘柄だ。
「でも…今日の朝は結構効いたか?」
薄暗くてもわかるあの真っ赤に染まった首、耳。抱きしめた時に伝わってくる大きくて早い心臓の音。
俺を意識してるのは間違いがない。
…………本当に可愛かった……。
あの夜、あのタイミングで、あのシチュエーションで出会うなんて運命だと思った。いや、間違いではないかもしれないけど、全て可愛く思えてくる。
もう一口コーヒーを啜った時に玄関のベルが鳴った。いくらか軽くなった足を動かし玄関を映し出す画面を見ると、見覚えのある顔が映っていた。
「おはようございます、前野です。服の生地のサンプルが事務所に届きましたので、確認して頂きたいのですが……。」
「あー了解。準備するから上がっておいて。」
「ありがとうございます。お邪魔します。」
玄関の鍵を開けて家にいれる。
事務所の部下、俺の秘書的存在の前野達哉。仕事は出来るが頭は硬い。長い付き合いの奴だ。俺も長身なはずなのに、こいつは更に頭一つ分くらい高い。
前野にもコーヒーを入れ、自分は作り置いてくれた朝食を食べる。目玉焼きは半熟だ。パンの焼き加減も丁度いい。こんなに家事が完璧なら、いいお嫁さんになれるだろう。
朝食を食べ終え、皿を流しに置き着替えに寝室へ。
……よし。準備万端!
「さて……仕事しに行くか。」
「あの、麻生さん。なんかずっと顔にやけてます。」
「え"。」
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