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いつの間にか緊張がほどけ、亘という青年に打ち解けていた。
「一番上の姉ちゃんは桜が咲いたときに生まれたから美しい桜と書いて美桜、兄ちゃんは海をみてるときに母さんのお腹の中で動いたから海斗、下のお姉ちゃんは紅葉が紅く染まっていたときに生まれたから美しい紅で美紅になったんだってさ」
「ほう、君の両親はセンスいいんだな」
「亘さんの名前は?」
雪斗の質問に、亘は寂しい目をして答えた。
「知らないんだ。実の両親は早くに死んじゃったからね」
「あっごめんなさい。でも俺と一緒だ。家も父さんも母さんも子供の頃事故で死んじゃって兄弟だけだから」
「そうなのか?君も大変なんだな。でも兄弟がいるだけ羨ましいな。俺は一人っ子だからね」
「だから俺、兄ちゃんや姉ちゃんが楽出来るようにお金ほしくて……。でも、まさかあんなことになるなんて思わなかったから……」
いつの間にか涙がにじみ、亘に先ほどまでのいきさつを話していた。
亘の温かい思いやりに、不思議と心がゆるんでいたのだ。
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