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14(亘の思い)
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「不思議なやつだな。お前は」
亘は雪斗と初めて出会った頃を思い出していた。
雪の降る日に、妙な格好で倒れこみ家につれ帰ったものの正直やっかいなものを拾ってしまったと思った。
服を着替えさせようとすると身体のあちこちに、痣や火傷の痕が痛々しく広がっているのが目に入っのだ。
「まさか!家族のだれかに?」
頭に虐待の二文字が浮かび頭を抱えた。
「全く、どうすればいいんだ?」
雪斗が目覚めた後の対応を考えた。
もしかしたら、見知らぬ自分に怯えて暴れだすかも知れない。
あるいは家に帰りたくないがために黙りを決め込むだろう。
施設育ちの経験からそのような子供たちを知っている。
色々と考えたあげく、ふと少年時代の自分を思い出した。
亘が施設で過ごしていた少年時代、ある事件のせいで誰にも心を開かない時期があった。
必要以外誰とも喋らず自分の殻に籠っていたのだ。
そんな亘を変えたのが彼を引きとった養父母だった。
彼らのお陰で亘は少しづつ心を開いていった。
雪斗は、今の優しく笑いかける亘の顔しか知らない。
養父母の顔を思い浮かべながら、亘は雪斗にとにかく優しく接することにしたのだ。
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