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出会い2 side 寛人
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久しぶりに酒を飲みすぎた。ふらふらとする体をどうにかまっすぐに歩かせていつもの倍の時間をかけてようやくマンションにたどり着く。
いつも以上に絡んできた上司は、去年よりもだいぶさみしくなった頭を掻きながら最近反抗期らしい娘と妻の愚痴を延々繰り返していた。
どうにかタクシーに乗せて帰らせたものの同じタクシーに乗る気にもならなかったので酔い覚ましもかねて歩いて帰ってきた。それでもまだ酔っているのがわかる。
「あー面倒だな」
エレベーターのほうが楽だが階段の方が部屋から近い。わざわざ奥のエレベーターを使う気にはなれなくてふらつく足元を見ながら階段の方に進む。
何か、いる。
それに気が付いたのは4段目に足をかけた時だった。
階段の隙間から、いつもは赤いコーンなどが置かれた埃っぽい階段の下に、ぼんやりと白いものが浮かんだように目に飛び込んできた。まるで人のようなそれは、幽霊なのかマネキンなのかはた目にはわからない。
実際、寛人は酔っていたのだ。
明日の会話のネタになるかもしれないな、とわざわざ階段をおりてそれに近づいた。近づいてみればはっきりと人の形をしていることがわかる。「これは男の子のマネキンかな」と思いながら確かめようと白い肌に手を触れた。
熱い。
まるで人のそれのような感触と熱に瞠目する間もなく、寛人の手に嫌な感触がした。濡れた手のひらを薄暗い光に照らしてみれば、それは赤い血の色で。見慣れたはずの色がマネキンのように放置されているものから流されていることを一瞬遅れて理解するとともに酔いは一気にさめた。
「おいっ」
慌ててマネキン…もとい少年の体を見ると、透き通るような白い肌はいたるところが傷だらけでどれだけの暴行を受けたのかとぞっとする。もう一度体に触れると、信じられないくらい熱を持っている。それはそうだ、この寒い季節にこんな布をどうにか巻き付けたような格好なのだから。
救急車を呼ぼうかとも思ったが、ここにこの子が放置されているということは放置した人間がまた来る可能性があることに気が付いた。しかもこの季節、この格好で数分でも待たせておくのは心苦しい。
仕方がないので自分の着ていた上着を少年にかぶせて自分の部屋に向かう。その際、ポケットから取り出したスマホで幼馴染の男に連絡をすれば「今から行く」と返されて安堵する。
「何がどうなってんだよ…」
動揺しつつも抱えた体はあまりにも軽くて。それなのにあまりにも熱い体にどうしようもない気持ちを抱えつつ、寛人は自分の部屋に入っていった
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