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CHAPTER7
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「それは…」
ニコラスが黙って俯くと、ルーイは彼の手から先程マーシュリーから貰った電話番号の紙を奪い返して言った。
「君が彼女たちと何があったか知らないけど、僕はいくら汚れている女の子でも、ビッチだなんて言ったりしない」
ニコラスは何も言い返せなくなってしまい、しばらく沈黙が続くとルーイはニコラスの手を取り「今は夏休みだし、遊ぼう」と誘ったが、彼は俯いたまま「具合が悪い」と言って帰る道に向かった。ルーイは手を貸そうかと彼に聞いたが、彼は断って秘密基地を後にした。
ルーイはきっと、何故ニコラスがそんなに怒っているのかが分からなかったが、ニコラスは自分その感情がどんなものかを知っていた。
ルーイに手を取られ、握られたとき、ニコラスの顔は赤くなっていたのだ。彼はマーシュリーたちに嫉妬心を抱いたのだ。それはニコラス自身も自らその感情が湧き上がってくるのを感じ、ルーイにこれ以上ひどいことを言えば同じくらいの罪悪感を感じてしまうと思ったのだ。
ニコラスは、ルーイに好意を抱いていたのだ。
それはニコラス自身を知っていた。でもこの気持ちをルーイに伝えれば…きっとルーイは傷付き、自分との友人関係をやめてしまうだろう。そうニコラスは考えていた。このまま1人で好きになって、1人で熱を冷ませばいいと思ったが、難しかった。
「どうして…」
ニコラスの苦しそうな声は、誰にも聞こえないまま静けさに溶け込んでいった。
その翌日、ルーイはニコラスの家に行ったが、まだ具合が悪いとニコラスの妹が代わりに彼に伝えた。ルーイは「分かりました」と言って帰ったが、ニコラスは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「お兄ちゃんいいの?大事なお友達でしょ?」
「兄ちゃんにも色々あんだよ」
「でも今の子、すごく悲しそうな顔してた。たぶんお兄ちゃんとお話したいんだよ」
ニコラスの妹、ミシャは心配そうに先程のルーイのことをニコラスに伝えた。ニコラスも話したい気持ちでいっぱいだったが、この状態で自分が出ていったら余計ルーイには迷惑をかけてしまうと思った。唯一自分と友人関係になってくれたルーイには絶対に迷惑をかけられないし、変なことで悩ませたくなかった。もうすでにこの時点で迷惑はかけているのだが。
「…ミシャ、もっかいその人呼んでくるよ」
「は…?おい、やめろミシャ。俺はあいつに迷惑をかけたくないから…!」
「放っておけないよ!パパが帰ってくる前に仲直りすれば大丈夫だよ!それに…そうやってお友達をいつも放っておくからお兄ちゃんは友達なんてできなかったんだよ?」
「……」
ニコラスは何も言い返せなくなり、黙った。ミシャは「もう知らないよ」と言って自身の部屋に戻った。
「相手を好きになるから、友達ができないんだよ」
ニコラスは誰にも聞こえないくらいの声でそう呟き、彼も自身の部屋に戻った。
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