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「傷ついたんですか」
癒えていないことだけははっきりしている。
それを認めることができないくらい。
でもそれは不快ではなかった。
「あー……。俺さあ、ゲイだからさ……。男っていったら、付き合えるかそうじゃないかに分類しちゃうんだけどさ……」
「それはあなたの恋愛観がおかしいのでは? 異性だって、友達はできますし、何より全部のゲイが分類するわけじゃないと思います」
強引に話を逸らしたが、男は咎めなかった。
「まあそうなんだけど。でもね、俺、あんたと友達になりたい」
「友達、ですか」
「そう。だめ?」
「いいえ」
「じゃあ友達になろうよ。ああ、ゲイだから気になる?」
「えっと、それは意識されてないっていう」
「意識してほしいの?」
「違いますけど」
「付き合うとか付き合わないとか、そういうのはどうでもよくてさ。一緒にいて楽しいよ」
つくねを噛むとじんわりと甘い。
男は首を傾げていた。やはり馴れ馴れしかったか。
「あなたには、ゲイ以外のアイデンティティはないんですか」
「どういう」
「いや、だから、あなたからゲイという要素を取ったら、何が残るんですか」
一気に酔いが醒めた。
思わず睨んだが男の瞳に悪意はなく、純粋な疑問なのだろう。
「僕は、あなたがゲイであること以外、知らない」
「……そうだね」
知りたいと思ってくれるの、と茶化す気にもなれない。
「女と付き合ったことは?」
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