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「あるわけないでしょ」
「じゃあ、女と付き合ったことがないのに、男性ばかりが恋愛対象だと決めつけてるんですね」
「なるほど……。確かにそう言われてみれば、俺の特徴、ないね……」
さて、何から話そうか。
「俺は山岡息吹。えーっと……。あんたのこと気に入った。仲良くしてくれると嬉しい。あとは……何を話せばいいかな。よくわからない。気になることがあったら訊いてよ」
「畑野由正。いきなり仲良くと言われても困りますけど、そうですね、悪い気はしませんね」
「そう。連絡先、教えるから。あんたも教えて」
なんとなく逃してはいけないような、もう二度と会えないような気がした。
息吹自身も驚くような性急さで訊ねると、由正もにこりと笑って携帯電話を取り出した。
「由正。また、連絡していい?」
「それはあなたの自由です。もちろん、僕が断るのも自由」
「なるほどね」
沈黙。
「少し話してもいいですか」
「どうぞ」
「僕と話してて、気詰まりでは?」
「……俺の話、聞いてた?」
それからなんとなく飲んで、食べて、でも由正が口を開くことはなかった。
「そろそろ出る?」
由正が頷く。伝票を手に取り、会計をする。
「これ、お金」
「いいよ。だって俺が無理に付き合わせたじゃん」
「また息吹に会うなら、ここは割り勘がいいです。次に会うとき気を遣いたくない」
次があると、言ってくれるのか。
「じゃあ……お言葉に甘えて」
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