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頭痛で目が覚めた。
飲みすぎた。ついでに胃もたれもしている気がする。
結婚式――違う、友達ができたんだっけ。
そう、昨日は息吹らしくなかった、と誰に言うわけでもない言い訳をする。
あんたのこと気に入ったなんて、何様だ。
強引に連絡先の交換を迫ったことを思い出すと恥ずかしくてたまらない。
「ああああああああああ!」
掛布団を抱き締め、ぐるぐると転がる。
ゲイ以外取り柄――じゃなかった特徴のない男なんて!
どうしようどうしよう絶対引かれた。
でも違うんだよそういう相手として選んだんじゃないんだよ!
もう弁解もできない。
「はあ……」
溜め息は思ったよりも大きく、大の字に寝転がる。
何かゲイ以外で、息吹を説明できるもの……と記憶を探るが、どの時代も性的嗜好の悩みしか浮かんでこない。
趣味すら浮かんでこないなんて、なんというか、性的嗜好以前に人間としての在り方を問われている気がする。
でもまあ……ノンケでもあんな柔軟な考えの人がいるんだな。
頭痛はするし胃もたれもひどい。
だけど仁史と別れてから初めてと言っていいほど気が晴れ晴れとしている。
天井をじいっと見つめ、のそりと起き上がる。
こんな日には、何か楽しいことでもしないと勿体ない。
コーヒーを流し込み、胃の底が焼けるのを味わう。
歯を磨いて顔を洗って髭を剃って着替えて洗濯機を回して皿を洗って掃除機かけて洗濯物干して、さあ、一日の始まりだ。
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