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繁華街まで行くと中学のときの同級生を見掛けた。
「息吹じゃん、久しぶり」
避けて通ったのに、どうやら向こうも気づいていたらしい。
後ろから背を叩かれて、逃げ場を失った。
「……久しぶり」
「なんか雰囲気変わった?」
「それ貶してる?」
「全然。なあ、来週金曜、暇?」
記憶の底から目の前の同級生の記憶を引っ張り出す。
暇であろうとなかろうと、これは捕まりそうだ。
「合コンの人数足りないんだよ。お願い」
「やめて。お前さあ、俺がそういうの向かないの知ってるでしょう」
「いつの話してんの。今の息吹ならいけそうと思ったから言ってんの」
無理だ、第一、俺、失恋したばかり……。
いや待て。これはチャンスか。
ゲイ以外に何か取り柄を見つけるチャンス。
……ゲイは取り柄じゃないけど。
「息吹?」
「悪い悪い。じゃあ、俺の連絡先教えるよ」
「ほらね」
「……何が」
心なしか嬉しそうな様子の白川を怪訝に見ると、ますます笑みが深くなる。
「俺ね、息吹のこと、ときどき見かけてたの。だけどいっつも難しい顔してさ。話しかけるの、やめよーって思って。でも今日の息吹、なんか明るいし。実際、前の息吹だったら、『そんなに親しくない~』なんて言ってさ、自分から連絡先なんて教えないでしょ」
昨晩の記憶が脳裏を掠めた。
「暗くて悪かったな」
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