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「え……」
ひどく真剣な顔に圧される。
「デートのお誘い、です」
まったくひどい冗談だ。
でもひとりでこの思いを抱えるのはつらい。
どうせこの男にはもう泣き顔を見られている。
小さく頷くと、「ありがとうございます」と弾んだ声で返事があった。
あんた、バカだよ。
隣をゆっくり歩く由正についていくと、和食レストランに着いた。
仕切りがあって、個室のようになっている。
その頃には息吹の涙も止まっていて、由正をじっと見つめた。
じゃりと音がして、机の上に封筒が置かれる。
「息吹。最初に謝るべきだったのに、すみません。遅くなりましたが……。先日の合コン、不快な思いをさせてすみませんでした。これは、お釣りです」
「……焼肉代、引いてないみたいだけど」
「拓真が人数追加してなかったので、息吹の分は拓真が食べました」
なるほど。
運ばれてきた緑茶を啜り、なおも由正を見つめると身じろぎをした。
「話をしてもいいですか。言い訳ですけど」
「話したいことは訊かなくても話すんでしょ。好きにすれば」
「はは。確かにその通りです」
自嘲気味に由正は笑い、そして話した。
大学のときから合コンで女を試してきたこと。
仁史の妻である佐藤は職場の同僚だったこと。
唯一、由正の条件をクリアしたこと。
本当に好きだったから、告白できなかったこと。
「なにそれ」
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