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「あらかわいくない」
にやにやしながら飲む姿は白川と似たものを感じる。
「見合いって、何すればいいかご存知ですか」
「それ、合コンのときも言ってた気がする。別に気にしなくてもいいのよ」
「僕は、気になるんです」
常葉が一口、コーヒーを飲んだ。
「じゃあ……自己紹介して。あなたのこと、何も知らないの」
結局またここに戻るのかと思う。
だけど今なら言える。
ゲイ以外の特徴。
「山吹息吹……。人と関わるのが苦手って思ってたけど、最近、そうでもない気がする。あと、人の意見は人の意見で、僕の意見は僕の意見でいいんだなって分けて考えられるようになった」
「面倒臭い人ね」
「……はい」
にこりと笑って、常葉が口を開く。
「笹原常葉。兄がひとりと、姉がひとりいるわ。姉はもう亡くなったから、兄だけなんだけど……。お見合いしようと思ったのは、なんか、恋愛したことがないから、このままだと結婚しないんじゃないかと思って」
「結婚、したいんですか」
「まあ、そりゃあね。多くの人が一度は経験してることは、経験してみたい」
「恋愛は?」
感情の籠らない声で訊いた。
「恋愛?」
「そう。恋愛も多くの人が経験してる。常葉さんは、恋愛しなくていいの?」
恋はできても結婚はできない息吹と、結婚はできても恋をしない常葉。
「そうねえ……」
常葉が目を閉じる。
「恋愛はしてもしなくても変わらないけど、結婚は、形に残るから」
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