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「ありがとう」
星が零れるように、ふわりと笑った。
そのまま昼食の時間になり、外へ出る。
お見合いと言えば和食かしら、と言う常葉に、この前由正と行った店へつれていった。
個室だ。
「ねえ、常葉さん」
「なあに」
「僕と、お付き合い、してください」
「それは無理」
息吹の聞き違いだろうか。
「あの、お付き合い」
「だから無理って言ってるじゃない」
まだご飯を食べる前なのに。
この気まずい空気のまま食べろと言うのか。
襖が開いた。
それを確認した常葉がにっこり笑う。
「だってあなたには運命の人がいるじゃない」
「ほら、やっぱり息吹はここを選んだだろう?」
白川の楽しそうな声と、
「息吹」
振り返りたくない。
「あのね、普通に楽しかった。ありがとう。あと、どうか、お幸せに」
常葉が出ていく。
息吹も逃げ出そうとしたけれど由正が入ってきて、同時に前菜も運ばれてきた。
さすがに箸をつける気になれない。
「息吹、怒ってますか」
「すっごく怒ってる。何。俺の選択肢を潰しにきたわけ」
「実はそうなんです」
真顔で答えるな。皮肉を察しろ。
「僕は確かに失恋しました。でも、何も行動にも起こさず、あなたを失いたくない」
幸せなんか、似合わない。
「息吹。抱き締めてもいいですか」
「やめろ」
「僕は、息吹が好きです」
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