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授業が終わったらしい
後は帰るだけなんだけど、鞄が教室にあるんだっけ
「楓、鞄持って来たぞ」
「葵、ありがとう」
「思っていた通り午後の授業もサボりか?」
「寝てたらこうなった」
「顔は大丈夫か?」
「どうでもいいかな」
「美形は気にしないってか?」
「うん」
「ったく!一応商売道具なんだからな」
結局彼は何者だったんだろう
保健室で試験と言う事は編入生?
「葵」
「ん?」
「彩流寺って知ってる?」
「お前なぁ・・・生徒会長の苗字だろうが!」
「あっ・・・」
思い出した
この学園にもいた
でも面識はない
そもそももう一人の彩流寺は学園の理事をしている息子で生徒会長様だしね
俺には縁のない話
「彩流寺さんがどうかしたのか?」
「別に」
「変な奴だな」
靴に履き替え、中庭を抜けたところで立ち止まり静かに言った
「葵」
「ん?」
「面倒臭いから走るよ」
「相変わらずモテ過ぎだろ?本性を知らないと言う事は恐ろしい」
「性格かな」
「それは無い!」
二人で走り、川の欄干までやって来た
さすがに少し疲れたかも
欄干にもたれ、そのまま座り込んだ
「相変わらずの人気でございますね」
「学園の人間は鬱陶しいだけ」
「まぁ、現役高校生でバンド組んでてそのバンドが超人気バンドのギター様なら仕方ないけどさ」
「葵」
「ん?」
「喉乾いた」
「おまっ!俺はマネージャーじゃないぞ」
「死ぬかも」
「はぁ・・・わかったよ」
何だかんだと言っても、葵は優しい
俺が唯一心を開いて話が出来る奴
「ほら」
「ありがとう」
「やれやれ」
「ちなみに葵もメンバーだけどね」
「俺は平凡なベーシスト」
「よく言う」
二人で夕陽を見ながら冷たいアイスティーを飲んだ
少し苦いアイスティーが今日は甘く感じた
夕陽にペットボトルを透かして大きな夕陽を見つめた
「でさ、どうしてお前が全く興味を示さない生徒会を気にしてるんだ?」
「生徒会じゃないよ」
「んん?」
「そのうちわかる」
「待て!思い出したけどお前も生徒会役員だろ?少しは自覚を持て」
「好きでやっているわけじゃないし、そもそも生徒会のやり方が気に入らない」
「まぁな・・・何だっけ?アントワヌクラブだっけ?選ばれし者だけが参加できる高貴なクラブ」
「そんな名前だったね、興味ない」
「でもさ、毎年そこに入りたい生徒達がわんさかいるとか」
「何がいいんだか」
「いいだろ?クラブ限定のお茶会、パーティーその他色々、おまけに社交界デビューも出来る、金持ちにはたまらないステータスクラブだ」
「じゃ、俺はどれも当てはまらない」
「でも、お前も会員だろ?」
「フランス貴族でもあるまいし」
「でも、全生徒の憧れの的だ」
「男にモテてもね」
「お前のそういう所好きだな」
「きもっ」
「おいっ!」
確かに俺はそのクラブ会員だった
でも一度も参加した事は無いし、何をしているのかも知らない
どうして俺が選ばれたのかも謎だし、興味もない
だから行かない
それだけの事
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