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目が覚めたのは午後
今から行っても仕方が無いけどここにいても退屈
学園に向かい、噴水に腰かけ水面を見つめた
太陽が反射して眩しい
時折かかる水しぶきが心地いい
「暇人」
旧校舎に人影を見た
どこの世界にもいじめは存在するわけね
止めるつもりはないけど暇つぶしにはなりそう
そっと近付いて腰を下ろした
人を殺した俺にとっていじめは可愛いお遊びみたいなもの
「お前生意気なんだよ!」
「和海様の弟だからっていい気になるなよ」
「お前初等部だろ?ここは高等部なんだけど」
いじめられているのは繭か
確かにあんなに堅苦しい敬語で話せば敵も多くなる
「何とか言えよ」
「バカは一人では何も出来ない」
「は?」
「バカはつるんでもバカのまま」
「お前・・・」
「バカじゃない、間違えた・・・ナマケモノ」
「黙れ!」
「ナマケモノは移動する時もノロマ」
「うるさい!」
殴られる・・・
「ノロマだから獲物にされる」
「ちょこまかと!」
へぇ、上手く避けてる
喧嘩慣れしてるみたいな感じだけど気のせいかな
「そろそろ疲れたから遊びは終わり、言葉の意味理解出来る?」
「ああ、これで終わりだ!」
繭は軽やかに体をかわして小さな体で上級生の体を蹴飛ばした
意外と力はあるらしい
「貴様・・・マジ殺す」
「殺すとかすぐ言うのもバカな証拠、ちがったナマケモノ」
「どこまで馬鹿にすれば・・・おい、捕まえろ!」
面白いかも
「へへ、やっと捕まえたぞ・・・死ぬまで殴ってやる」
あれ?
わざと捕まった?
俺にはそう見えた
「何をしているのですか?」
「会長様!これは・・・」
成程
和海が来る事がわかったから捕まったのか
「繭」
「和海は動物園の経営をしているの?それにしてはナマケモノが多すぎ、残念な動物園」
「教室に戻りなさい」
「そうですね・・・そうそう、動物を放し飼いにするならナマケモノではなくライオンにした方がいい」
「チャイムが鳴りましたよ」
「ではごきげんよう」
制服の乱れを直し、その場から立ち去った繭
他の奴らは残っていた
「あ、あの・・・」
繭がいなくなった後、和海が冷たく言った
「お前達に頼んだ私がバカでした、無能な奴」
「すみません!子供だし簡単に・・・」
「言ったはずですよ、油断しないようにと」
「すみません」
「柔道部は廃止ですね、5人がかりでその様とは」
「もう一度、お願いします」
「私は難しい事を言いましたか?怪我をさせろと言ったのです」
「はい」
「次の部活を決めた方がいいですね」
「お願いします!廃部は」
「決まった事です」
「そんな・・・」
和海が繭を?
どうして?
誰もいなくなった旧校舎を見つめ、思わず笑った
何だろう、よくわからないけど笑いが止まらなかった
「何がそんなに面白いの?」
「繭・・・教室に」
「悪趣味」
「偶然だけど」
「見ているだけで助ける気も無い」
「助ける義理もない」
「テニス」
「忘れてた」
「お腹空いた」
「えっ?」
「パンが食べたい、メロンパン」
今ここにいるのは誰?
あの堅苦しい繭じゃない事は確かだった
「じゃ、一緒に行って屋上で食べようか」
「うん」
えっ・・・?
子供って手を繋ぐの?
おかしいな、触られるのは嫌いなはずなのに
「何?」
「手は繋げるの?」
「手しか繋ぐところはないけど」
「そうじゃなくて」
「パン」
「うん」
まぁいいや
面白いし今日は繭に付き合う事にした
「メロンパン無いけど」
「美味しいパン」
「ん~、適当に買うね」
「美味しいパン」
「わかった」
どれが美味しいかなんてわからない
適当に買い込んで屋上へ向かった
「これがクリームパンで、こっちがジャムパン、それから・・・」
えっ?
両手にパン
やはりここは動物園?ここにハムスターがいた
「たくさんあるからゆっくり食べて、飲み物はイチゴミルクでいい?」
食べながら頷き、ものすごい速さで一個目のパンを完食した
「パン好きなの?」
黙って頷きクリームパンを食べだした
結局、5個全て食べつくし手を綺麗なハンカチで拭いていた
あれ、この香り・・・窓を開けた時に嗅いだ記憶がある
「お腹大丈夫?」
「まだ入る」
「えっ・・・」
もしかして体の半分以上が胃なのかな
「買って来ようか?」
「うん」
「わかった」
冗談のつもりだったのにものすごく期待した目で見つめられた
俺っていつからパシリになったんだろう
苦笑しながら購買に向かいパンを買った
「お待たせ」
「パン」
「あのね、もうフランスパンしか残ってなくて」
「それでいい」
フランスパンは結構な大きさがあった
まさか全部食べるつもりかな
「俺のも飲んでいいよ」
食べながら頷き、黙々と食べていた
でも、食べ方は上品で見ていて飽きない
そして完食
「ごちそうさまでした」
「・・・・・・うん」
ハンカチで口元を拭い、制服に落ちたパンくずを落としながら言った
「どうして和海に目をつけられたの?」
「俺が無視をするから」
「無視?」
「わけのわからないクラブの会員にさせられてお茶会を断ったから」
「動物愛護クラブ」
「まぁ、そんな感じ」
「自分のステータスを自慢する動物愛護クラブに楓もいた」
「知らない間に入れられてたの」
「楓はナマケモノ?」
「えっ?」
「違う・・・楓ははぐれ狼」
「狼ね」
「とても悲しい目をしている狼」
「成程」
「和海はカッコウ、冬矢ジャガー」
「何?」
「僕はモズ」
「何の話?」
「ここは動物園だから」
「どうして繭はモズなの?」
「狼が鳥を食べなくなったら教えてあげる」
「うん」
繭の話はよく分からなくてそれでいて何か意味がありそうな話だった
「繭は冬矢も知っているんだよね?」
「もちろん、でも冬矢は嫌いじゃない」
「そう」
「子供の頃、甘いお菓子をくれたのが冬矢」
「うん」
「僕の好きなおもちゃを壊してプレゼントするのが和海」
「昔からひねくれていたんだね」
「捨て犬に暖かいミルクをあげるのは冬矢」
「うん」
「冷たい水をかけるのが和海」
「・・・・・・・・・・・」
「繭はずっと一緒に住んでいたの?」
「中等部の時から、別宅で暮らした」
「どうして?」
「巣から落とされる前に逃げただけ」
「う~ん」
「授業が始まる」
「俺は後から行く」
「わかった」
どういう意味だろう
よくわからない
とりあえず天気がいいから昼寝でもしよう
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