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夕食の時間になり、ベッドの上で考えていた
別に食べなくてもいいかな・・・面倒臭いし
そんな事を考えていると、突然腕を掴まれた
「行く」
「何?」
「夕食」
「ああ、そっか」
「早く」
「わかった」
何だろう
もう俺に敬語を使わない繭
敬語じゃないのは嬉しいけど今度は繭語に悩まされた
立ち上がるとまた手を繋いだ
どうして?
でも払いのける理由もない
「今夜は中華か・・・」
「パン」
「パンもあるよ」
「パン」
「わかった、席を探して」
「うん」
何だか調子が狂う
二人前のプレートを持ち、パンを乗せた
「お待たせ」
「ありがとう」
食事は普通なんだ
優雅に食べている
きっと育ちがいいんだろうね
でも・・・
「繭、パンはたくさんあるから」
パンを食べる時だけはハムスター
可愛いけどね
「おや、珍しいコンビですね」
繭は無視していた
「楓、この子の本性を見たいですか?」
「どうでもいいから向こうへ行って欲しいんだけど」
「そう言わず」
和海は繭のプレートに手を伸ばした
それは一瞬の出来事
繭は何の躊躇も無くフォークで和海の手を突き刺そうとした
きっと本気、テーブルに刺さっているしね
当然のようにそれをかわした和海、そうなる事がわかっていたかのようにね
「これが繭の本性です」
「だから何?でも残念、俺ならナイフを使うけどね」
「貴方らしいですね、では」
繭は何事も無かったかのようにパンを食べていた
「このテーブルクロス高いんだけどな」
「誰?」
テーブルに突き刺さったフォークを抜きながら笑った
「繭、来たな」
「翔」
二人は知り合い?
「そう、俺は翔よろしくね」
「・・・・・・」
「怖い顔しないで、少なくとも俺は繭の味方」
「味方?」
「だよな、繭」
パンを食べながら頷く繭
と言うか、誰?
「きっとこれから仲良くなれると思うよ」
「・・・・・・・」
「じゃ、またね」
静まり返った食堂
翔が空気を変えていた
繭が食べ終わるのを待ち、さっきの出来事を思い出していた
「ごちそうさまでした」
「もういいの?」
「楓は何も食べていない」
「俺はいい」
「食べて」
「食欲がね」
「食べたら知りたい事を教える」
一枚上手か
仕方なくスープだけ飲む事にした
「フルーツも」
「うん」
赤いイチゴを指で摘み口の中に入れた
「翔は味方」
「味方ってどういう意味?」
「翔は従弟で昔から知っている」
「従弟なんだ」
「和海の唯一の弱みでもある」
「弱み?」
「和海は翔が好き」
「そうなんだ」
「翔だけには何もしない」
「なのに味方?」
「翔が5歳の時、僕が助けた」
「助けた?」
「プールに落ちて溺れている翔を」
「プール・・・」
「うん、泳げない翔を落としたのは和海」
「ごめん、話がよくわからないかな」
「翔はとても綺麗になった、子供の時には無かった感情が和海に芽生えた」
「ようするに、子供の頃の和海は翔をいじめていたけど大人になった翔に今度は恋をしたと言う事?」
「大体正解」
「翔は知ってるの?」
「落とされた事は覚えてる、和海の気持ちも知っている」
「なるほどね」
「翔は和海が嫌い、僕がやられていた事を見ていたから」
「一緒に住んでいたの?」
「夏休みだけ」
「そうなんだ」
「翔はそんな和海の気持ちを弄んで楽しんでいるだけ」
「それってどうなの?」
「面白い」
「そう」
「でも、どちらかを選ばなければいけなくなったら翔は必ず僕の味方になる」
「今も?」
「そう、今も・・・僕と翔は特別な絆があるから」
「わかった、翔は味方・・・それでいい?」
「うん」
繭の話を聞き終わり、生徒が集まっているテーブルを見つめた
そこには翔がいた
そして隣には和海と冬矢
今まで和海が嫌いだったから見る事もなかったけど、本当に綺麗な人だった
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