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昼休み、ベンチに寝転がりライブのセットリストを考えていた
「楓」
「翔、珍しいね」
「生きてたんだね~」
「死にかけたけど」
「繭との指切りは怖いだろ?」
「そうだね」
「ちなみに何をされた?」
「ナイフが飛んで来た」
「ったく!壁紙高いのに」
「そっちの心配?」
「怪我をしなかっただけでもありがたく思え」
「だね」
「もう指切りは二度としない方がいい、次は本当に殺される」
「・・・・・・・・・」
「ちょっと!まさか・・・」
「したね」
「マジかよ」
「うん、嫌いだと言われて咄嗟に」
「どんな約束を?」
「約束を二度と破らない指切り」
「あのさ、その意味がわかってる?」
「多分ね」
「約束をしなければいいだけの事だけど、どうして指切りをするかな~」
「今まで人に嫌われてもどうでもよかった、でも繭に嫌いだと言われた時悲しかった」
「一つ聞いても?」
「うん」
「それは同情?」
「違うかな」
「じゃ、愛情?」
「俺は、人を好きになる資格なんてないから」
「資格ね・・・」
「だから友情だね」
「成程ね、ちなみに冬矢は?」
「遊び相手」
「だろうね」
隣に腰かけた翔の体からあの匂いが漂っていた
「その香り」
「繭も同じ香りがするだろ?」
「うん」
「きっと染みついたのかもね」
「染みついた?」
「憎悪ってやつ」
持っていたノートを閉じ、翔を見つめた
俺はまだ信用してはいない
確信が無いから信用しない
「何?」
確かに綺麗な顔
細い金色の髪が片目を隠すぐらい伸びていた
瞳はゴールドでとても澄んでいた
肌も滑らかで爪も整っていた
「楓も俺と遊びたいの?」
「弄ぶの間違いでしょ?それに楓も・・・と言うのが気に入らない」
「確かに」
「和海と関わるのはいいけど、逃げられない時はどうするつもり?」
「逃げられるさ、番犬がいるからね」
「成程」
「でももし、逃げられなかった場合は諦める・・・体は自由に出来ても心は縛れない」
「そうだね」
確かにそう
体なんて気休めにしかならない
所詮器だから
「綺麗な手だね」
そう言って俺の手を掴んだ
繭とは違う感触
俺は翔の長い前髪をそっと指でかきあげた
「目はちゃんとあるけど」
「そうだね」
「楓じゃなければ指を折るけど」
「確かに夢中になるのがわかる、見かけは天使だから」
「楓も綺麗だよ、見かけは悪魔だけど」
「ありがとう」
心がほんの少しざわめいた
でも、それと同時にチョーカーが首を絞めつけるような感覚に襲われた
「大丈夫?」
「うん」
「繭が言ってたんだ、楓も同じだって」
「同じ?」
「心が痛いでしょ?」
「そうだね」
「俺も繭もそう、理由は違っても痛みは同じ」
「かもね」
「遊ぶなら俺と遊んで、今夜図書館で」
「それは約束?」
「気が向いたらって事で」
「じゃ、向かないかな」
「それは残念」
どこまでが本気でどこまでが冗談なのかもわからない会話だった
「翔様、こちらでしたか」
よく言う
ずっと俺達を見ていたくせに
「何?」
「来月開催される音楽祭のバイオリニストの人選を」
「ああ、そうだった」
「楓も役員なのですから出席を」
「俺、バイオリンとかわからないしね」
「俺先に行くから」
「はい」
和海と二人になるのは初めて
何を企んでいるんだろうね
「翔様が触れた手はどちらですか?」
「右だけど」
「なんという事を・・・」
和海はやはりどこか狂っているような気がした
翔が触れた手を取り、キスをした
「嬉しくないんだけど」
「翔様には触れないように」
「翔から触れて来たんだから不可抗力だね」
「繭とはうまくやっていますか?」
「もちろん」
「それはよかったです」
「和海は翔の為に死ねる?」
「もちろんです」
「お金が無くても愛せる?」
「ええ」
「翔が誰かに汚されても?」
「・・・・・・・・・・・」
「どうなの?」
「翔様を汚した相手を殺して私も死にます」
「翔が死んでと言ったら?」
「二人なら死ねます」
「そう」
どうやら気持ちは本物みたいだけど報われないね
「可哀相なカッコウ」
「何の事ですか?」
「意味は無いよ、じゃ」
これ以上会話しても無意味
気分が悪くなるだけ
二人なら死ねる・・・か
だったら確実に相手を殺してから死なないと後悔するよ
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