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夜になり、葵から電話が入った
でも俺はホテルに泊まると言って電話を切った
「はぁ・・・」
今度は華からの電話
やんわり断ってベッドに寝転がった
上手く行ったみたいで安心した
邪魔をするのは遠慮したいしね
「あっ、繭に送らないと」
約束を破ると怖いしね
急いでフロントから送る事にした
でも・・・大丈夫かな?
押しつぶされたりしないかな
心配だけど、繭なら・・・そうだ
もう一度フロントに行き、もう一枚チケを入れた
翔と二人なら安心かも
「さて、お風呂にでも入ろうかな」
何となく疲れたし、今夜は眠ろう
チョーカーを外し傷を指でなぞった
傷は消えない、一生ね
頭からシャワーを浴び、目を閉じた
体には洗い流しても消えない血の跡がある
目には見えないけどね・・・
バスタオルを腰に巻き付けて水を飲んだ
「学園の水の方が美味しい」
そのままベッドに倒れこみ、目を閉じた
学園生活は楽しいのかな?
街にいるよりは楽しいのかもね
今度は誰?
携帯を取り、目を閉じたまま返事をした
「楓?寂しいかなって」
「翔」
「久しぶりの都会はどう?」
「水がまずいね」
「だろうね~」
「そうだ、チケを送ったから」
「チケ?」
「繭と二人で来て欲しいな」
「マジで?いくいく!」
「うん」
「あのさ」
「どうしたの?」
「いや、葵から電話があって」
「葵?」
「学園の偏差値を聞かれた」
「そう」
「楓はその意味わかる?」
「わかるかな」
「どういう事かな」
「学園に入れたい人がいるみたい」
「そう言う事か・・・」
「ちなみに偏差値は?」
「高いかな」
「そう」
「楓も入れたいの?」
「そうだね、でも勉強は・・・」
「わかった、何年?」
「2年だけど・・・ほとんど学校へは行ってないから」
「楓のお願いは繭のお願い、繭のお願いは俺が叶える」
「えっ?」
「任して」
「ありがとう」
「チケのお礼、じゃ楽しみにしてるね」
「うん」
任してって・・・
そんな事が出来るのかな?
そしてそのまま眠ってしまった
どんな夢を見たのかは忘れた
夢でもいいから出て来て欲しい
もう一度千裕に会いたい
許してくれるまで謝りたい
千裕はどんな気持ちで自分の首を切ったんだろう
何を考えて俺の首を切ったんだろう
俺が倒れている隣で、遺書を書く気分はどんな気持ちだったんだろう
生きていれば希望も生まれていたかも知れないのに
俺のせいだ
あの時、千裕の言葉をちゃんと理解してあげていれば死なずに済んだかも知れないのに
死にたいと言う言葉の本当の意味さえわかってあげていれば・・・
後悔なんて何の役にも立たない
もう終わった事なんだ
会いたくてももう会えない
抱きしめたくてもその体は土の中なのだから
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