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華は毎日が楽しそうだった
柔らかな雰囲気の華にはすぐに取り巻きが出来た
「はぁ・・・」
「寂しそうだね、葵」
「そりゃね、授業も別だし教室も当然別、会えるのはランチの時と寮に帰ってから」
「贅沢な悩みだと思うけど」
「最近イオの周りにはメェメェ羊みたいな下級生が取り囲んでてさ、話しかけるのも一苦労なんだよな」
「それは大変」
「ところで楓は何をしているんだ?珍しく悩んでいるみたいだけど」
「そうだね、次の会場はドームでと言われてさ」
「ドーム?」
「普通なら嬉しいはずが俺は頭が痛い」
「だろうな、わかるよ」
「グッズとかも値段を上げたみたいだし、お金の事しか考えていないに事務所にうんざりしていた所」
「そっか・・・確かに頭が痛い話だ」
「独立するにもいろいろと壁があるしね」
「だよな」
本当に頭が痛い
俺達のやりたい事はそんな事じゃないのにね
でも、どうしようもないのかな
「楓が悩んでる」
「繭」
「部活」
「そっか、うん」
「繭君、今楓は部活どころでは無さそうだぞ」
「楓、どうしたの?」
「・・・・・・・」
「どうしたの?」
「俺達の求めている音楽が今のレーベルでは・・・繭に話してもわからない事だけどね」
「移籍する」
「それも難しいんだ、デビューする時かなりのお金を投資してもらったしね」
「いくら?」
「繭が壊した花瓶2個分」
「楓の為にその花瓶は僕が買い取る」
「ダメだよ、そんな事をしてはダメ」
「楓は僕のレーベルに移籍する」
「えっ?」
「面倒臭い事は僕に任せて」
「繭、それはダメ」
「楓は好きな音楽を求めている、僕はその夢に投資する」
「出来ない」
「出来る」
「繭」
「出来る」
「困らせないで」
「グッズも僕がデザインする、スタジオも作る」
「繭」
困ったな
そんなに簡単な事ではないのに
「繭君、お金もかなりかかるしそれは無理だぞ」
「やる」
「繭」
「やる」
困ったな
「いいんじゃない?」
「翔」
「繭なら簡単な事だし、楓を傍に置いておきたいんだろ?」
「うん、そう」
「だってさ」
「だけど」
「僕は楓のバンドが好き、僕が会社を作ればファンクラブ会員番号1番」
「えっと・・・」
「繭は個人でビルをたくさん持っているから時間はかからないと思うけどな」
「でも」
「それに繭に逆らう会社なんてないしね」
「楓、僕はドームではなくもっと近くで観たい」
それだけの為に?
「繭は意外としつこいぞ」
「出来るのかな」
「出来る、今よりももっと好きな音楽が出来る」
「楓、いい話だと思うけど・・・今のままでは実際やりたくもない仕事も増えるしさ」
「葵まで」
「だって最初は冗談かと思ってたけど繭君の目は真剣だから」
「もちろん利益も考えているから投資する」
「繭に賭けてみる?葵」
「いいね、くだらないテレビ出演はうんざりしていたしな」
「冴達は何て言うかな?」
「もちろん賛成だ」
「そう」
「繭、決まりだな」
「うん」
「楓、繭は仕事が早いぞ」
「今日の部活は休む、部屋に戻るね」
「うん」
本気なんだろうか?
「人気バンドを手放さないとは思うけど、繭なら出来るはず」
「そんなに甘えてもいいのかな」
「甘えてやれよ」
「うん」
それからの行動は速かった
揉める事も無く俺達の移籍が決まった
スタジオも完備されているビルまで用意してもらった
仕事が早すぎでしょ
「繭が俺達の上司だね」
「僕はファンクラブ第一号」
「そっか」
「新曲は出来てるの?」
「うん」
「じゃ早速MVを」
「うん」
そして俺達は新曲の為のMVを撮った
恐ろしいほど設備も整っていて満足するものが出来た
「テレビのCMまで流れていたとはね」
「楓達はもっと上を目指すの」
「頑張る」
「うん」
でも・・・
スタジオにはいつも繭がいた
特等席で俺達を見ている繭
首にはファンクラブのカードがぶら下がっていた
と言うかそこまでこだわっていたとはね
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