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悲しみから立ち直る方法はあるのかな
時間と答える人もいるけど、時間だけで心の傷は癒えたりはしない
今日も翔と二人、ベッドの上でゴロゴロして時を過ごした
「あのさ、翔」
「ん?」
「どうして焼却炉だと?」
「カラスは賢いんだよね、俺は教えてもらっただけ」
「そう」
確かに賢いとは思う
「もしかして飛び込んで来たカラスって」
「うん、そうだね」
「成程」
「さて、そろそろ迎えが来る」
「だね」
今日は音楽祭に出場するクラスを決める演奏会の日
結局、ピアノは華が弾く事になった
翔のクラスも別の生徒に代わっていた
「楓」
「あの、それは大袈裟じゃないかな」
「抱っこは嫌だって言った」
「そうだけど・・・」
繭は車いすを持って現れた
真ん中の考えは無いのかな
例えば松葉杖とかね
「いいんじゃない?楽だし」
翔は楽観的だった
「乗る」
「わかった」
「腕を回して」
「一人で」
「腕を回して」
「わかった」
繭の小さな体に腕を回し、車いすに乗せてもらった
「ごめんね、繭」
「楓のせいじゃない」
「だけど」
「大丈夫、僕達が選ばれれば楓がピアノ」
「えっと・・・」
「あははっ、確かにな~」
翔の車いすは燕羽が押していた
首輪が外れた燕羽は少しだけ笑顔を見せていた
「燕羽、お別れは出来た?」
「うん、とてもいい所だった」
「そう」
あのまま狂ってしまうのかと心配したけど大丈夫みたいで安心した
「ところで燕羽は何を演奏するんだ?」
「・・・・カ」
「ん?」
「ハーモニカ」
「意外だな」
「俺、音楽苦手だから人数が多いのを選んだんだけど3人しかいなかった」
「だろうな」
「でも二人いるから・・・」
「もしかして」
「練習すらしていない」
「やるね~」
そして音楽祭に出場するコンテストみたいなのが始まった
退屈かと思っていたけど意外と面白かった
「楓のクラスだな」
「うん」
「繭のアコーディオンってさ」
「うん」
「特注品でクソ高いらしい」
「確かに一人だけ違うね」
「子供用だな」
「怒られるよ」
「確かに」
「音が心地いい・・・華のピアノは好きだな」
「確かに上手い、今年は楓のクラスだろうな」
「気が重い」
「生徒が投票するから決まりだな」
「和海が翔のクラスが選ばれるように票を操作するんじゃない?」
「和海にメリットはないじゃん」
「そう言う事ね」
確かにメリットは無さそう
「楓」
「ん?」
「そろそろ飽きたんだけど」
「同じく」
「だよな」
スローな音色は眠気を誘う
頑張ったけど、気付いたらもう終わっていた
「楓、寝てた」
「ごめん」
「僕達が選ばれた」
「そう」
「楓がピアノ」
「華のままでいいと思う」
「楓がピアノ」
「わかった」
やはりそうなるわけね
上手く逃げれたと思っていたのに甘かったらしい
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