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怪我は漸く歩けるまでに回復した
翔も何とか歩けるようになっていた
今日のランチは芝生の上で食べる事になっていた
でも、この広い芝生のどこに?
「楓、繭!」
芝生は翔と氷龍の貸し切り状態になっていたからすぐに見つける事が出来た
他の生徒は遠巻きにして二人を見ていた
「お待たせ」
「俺達も今来たところ」
でも何もない
今から買いに行くのかな?
そして・・・
「お待たせ~」
やって来たのは燕羽
両手に荷物を抱えていた
「来た来た!」
「これでいいかな?」
芝生の上にたくさんのパンとスープを並べた
もしかしてもうパシリに使われてるの?
「じゃんけんで燕羽が負けたの!楓の考えはすぐにわかるし」
「びっくりした」
「繭、足りるか?」
「うん」
「じゃ、食べよう・・・俺はこれ!」
「ダメ」
翔の腕を掴んだ繭の動きは素早かった
「冗談だよ、ほら」
「うん」
メロンパンを渡し、ハンバーガーを食べていた
「楓は何にする?」
「そうだな・・・」
繭の食べそうにないパンってどれだろう
「楓、これも買って来たんだけど」
「珍しいね、お稲荷さん」
「何となく食べたくて」
「じゃ、それを」
「どうぞ、この学園のお稲荷さんはちゃんと狐の耳の形をしてるよね」
「そんな事、考えた事も無かった」
「楓らしい」
少し甘めのおアゲだけど美味しい
すごく久しぶりに食べたかも
「楓」
「ん?」
「美味しい?」
「うん、美味しいよ」
「うん」
勧めようとしたけどご飯が苦手なのを思い出した
「繭君、おいしいよ?」
そっか
燕羽は知らないんだ
「パンが好きなので」
「そうなんだ、じゃサラダもあるよ」
「・・・・・・・・・・・」
まだ警戒しているのかな
返事に困っている
「俺と一緒に食べようか」
「食べる」
サラダを受け取り、苦手な野菜を一口食べて繭に差し出した
「ドレッシングが美味しいよ」
「うん」
パンを黙々と食べながら時折サラダも食べていた
「繭君ってさ、パンを食べている時の顔がリスみたいで可愛いね」
「!!」
リスか・・・
確かにリスにも見える
「楓、リス?」
「えっと」
「リス?」
「あっ、このアップルデニッシュ美味しそうだよ」
「食べる」
「うん」
翔は笑いを堪えながらハンバーガーを食べていた
「楓、今日は何も入っていないからどうぞ」
「あの時のやつだね」
「結構並んだかも」
「ありがとう」
綺麗な色のドリンク
繭は何も言わずパンを食べていた
「じゃ、いただくね」
「どうぞ」
ほんのり甘酸っぱくて飲みやすい
俺は好きかも
「美味しいね」
「だよね、俺も好き」
視線を感じる
繭はパンを食べ終わり、じっと俺を見つめていた
「飲む?」
「・・・・・・・・・・・」
「美味しいよ?ごめんね、先に飲んじゃったけど」
「・・・・・・・・・・・」
「ストローを外して飲めばいいよ」
「飲む」
「はい、きっと気に入るよ」
繭はカップを受け取りストローで飲んでいた
驚いていたのは翔だった
「かなり信用されてるみたいだね」
「ん?」
「繭は絶対シェアしたりしないしましてや同じストローから飲むなんてあり得ない事だから」
「そうなの?」
「翔、静かに」
「はいはい」
信用されてるのは嬉しいかな
嫌われるよりはいいしね
「燕羽、そのバッジ」
「繭君が直してくれたんだ」
「そう」
綺麗になっているしピンも新しいのがついていた
カラスのプレゼントの時はバッジの部分だけだったしね
「思い出は大切」
「うん」
「楓の思い出はどれくらい大切?」
「えっ?」
思わず返事に詰まってしまった
「これ食べる」
「うん」
またパンを食べる繭
俺にしか聞こえていなかった言葉の意味は・・・
「てかさ、よくそんなの食べるよね」
「マイブームだ」
「ん~」
俺も気になった
氷龍の食べているパンというか魚がサンドしてあるやつ
「それは何?」
「鯖サンド、少し前に話題になっていたものだ」
「鯖ってあの鯖?」
「ああ」
味が全然想像出来ない
だって鯖だし
「結構有名だぞ」
「どこで?」
「トルコが発祥の地だ」
「トルコ・・・行かないかな」
「日本でも知られているけどな」
「売っていると言う事はそうなんだろうね」
「これは俺が作った」
「そう」
鯖が挟んであるだけにしか見えない
生臭くないのかな
「俺は絶対無理!」
「僕もいらない」
「楓、食べるか?」
「興味があるから少し食べてみようかな」
「じゃ、半分食べろ」
「ありがとう」
未知の味、魚サンド
けっこう勇気が必要かも
「悩む前に食べろ」
「そうだね」
一口食べて確かに言いたい事が分かったような気がした
「意外と合う」
「レモンをたっぷり絞って食べると更に美味い」
「うんうん、ボリューミーだけど食べれちゃうね」
「そう言う事だ」
翔と繭は引いていた
魚嫌いの翔はわかるにしても繭まで顔をひきつらせてるし
「繭、美味しいよ?」
「いらない、僕は青魚アレルギー」
「そうなの?」
「そう言う事にする」
「美味しいのに」
食わず嫌いと言う事か
食べてみると意外と美味しい物も世の中にはたくさんあると思うんだけどね
例えばこれみたいに
「でも、こんな山奥に鯖がある事にびっくり」
「今朝仕入れたんだ」
「氷龍は魚屋さん?」
「氷龍は食べたいものがある時は南極まで行く人だから」
「マジ?」
「校内のヘリポートを使えばすぐだ」
「ヘリポートね・・・そんなのあった事にびっくり」
「楓は食べたいものはないの?」
繭の質問には要注意かも
「別にないかな」
「わかった」
もしここでチーズとか言った日には、フランスかイタリアまで買いに行きそうだし
俺は売店で売っている1個180円のプリンで大満足
「お腹いっぱい!氷龍、死ぬ気で手を洗えよ」
「ああ」
可哀想な氷龍
思わず同情してしまった
「ああっ!」
「びっくりするだろ!何だよ燕羽」
「もしかして翔は魚が苦手?」
「そうだけど」
「そうなんだ~」
もしかして燕羽って・・・少し天然?
ずっと考えていたのかな?
でも外で食べるのは格別だね
太陽と風のスパイスが隠し味になっていつもより美味しく感じる
たまにはこんなのんびりした時間も楽しいと思えるようになったなんてね
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