アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
何となく最近騒がしいと言うかみんな落ち着きがない
三年になった時のクラス替えが気になるのかな?
「楓」
「どうしたの、繭」
「生徒会」
「あ~、行かなきゃダメ?」
「今日はダメ」
「そう、わかった」
やる事も無いし、久しぶりに生徒会室へ向かった
生徒会室には相応しくない外観だけどね
悪趣味と言うか何というか、いくら掛かっているんだろうね
「楓は知らないと思うけど生徒会は特別な意味がある」
「特別?」
「生徒会長と副会長は有名大学に推薦が約束されていて、将来の日本を担う職につく」
「話が大きすぎてわからないかな」
「それだけ大切な生徒会と言う事・・・僕はそうは思わないけど」
「成程」
「今日、来年度の生徒会長候補が決まる」
「でもそれって和海が決めるんでしょ?行く意味あるのかな?」
「候補は役員と評議委員が決める」
「でも、和海の言いなりでしょ?」
「そうでもない、普通の生徒もいる」
「へぇ」
よくわからないけど、行くしかなさそうだ
大きな扉を開いた瞬間、視線を浴びた
話し声一つ聞こえない空間は居心地が悪かった
「ちなみに評議委員って?」
「ルーム長、副ルーム長、各クラブの部長」
「そう言う事ね」
何だか国会みたい
観た事は無いけど高校の生徒会とは思えない空気だった
そして空気が変わった
と言うか、生徒会長が実権を握りすぎでしょ?
委員会の時は制服まで変わるなんてね
「おや、楓・・・貴方はこちら側ですよ」
「行こう」
「ステージはライブだけの方が好きなんだけどね」
仕方なく繭の隣に座り、ため息をついた
「では、来年度の生徒会長候補の投票を始めます」
「あのさ、質問」
「何でしょう、翔様」
「開票は和海がやるのかな?」
「ええ、そう言う取り決めですので」
「その投票はその場で開票して欲しいな」
「・・・・・・・・」
「あくまでも候補なんだし忙しい和海の手を煩わせる事はないんじゃない?」
「何が言いたいのですか?」
「わからないかな・・・俺達は動物園を作るつもりは無いから」
「わかりました、ではそのように」
こうして投票が始まった
でも、これはまだ候補を選ぶ投票
何だか面倒臭いな
だけど面白い結果が出た
「ではこの三名は本選に臨んで頂きます」
「がんばりまーす!」
「頑張ります、学園の秩序を守り続ける為に」
「僕は生徒会と言う下らない格差差別を消して当たり前の高校生活を送れる学園を作りたいです」
翔が選ばれるのはわかっていたし、繭もそう
でも冬矢は何故?
「冬矢は病気で一年休学した、だから今は二年」
「病気?」
「和海がそう仕立て上げた、和海がいなくなった後の生徒会を動かす為に」
「卒業しても生徒会の実権を握るつもりなの?」
「うん」
「園長は相当なウサギ好きなんだね」
こうして俺達が解放されたのは夕方だった
座りっぱなしで腰が痛い
「夕食の時間」
「うん」
繭は何を考えているんだろう
生徒会長を狙っているのかな?それとも・・・
「ここ、空いてる?」
「うん」
翔達がやって来た
「繭、俺が全面的に協力するから頑張れよ」
「わかってる」
「えっ?翔はどうするの?」
「俺は会長とか目立つのは無理!だから繭が会長になれば俺は副会長のままだから」
「副会長って」
「会長が決める、翔は特例で副会長になった」
「そう言うシステムなんだ」
「でも、冬矢も強敵なんだよな・・・」
「余り目立つ存在ではないのにね」
「和海が目立ちすぎるんだよ光の反対側には必ず影がいる」
「それに冬矢は運動部に信頼されている」
「運動部か・・・」
「と言うわけで俺は辞退するから」
「出来るの?」
「出来るよ、和海にしてみれば冬矢の当選が近付くわけだしね」
「確かに」
「会長の投票は役員達が?」
「今年はね、でもいつまでもそんなやり方じゃダメだと思う」
「と言う事は、今日参加した生徒達の票を半数以上集めなければいけないんだね」
「そう言う事!」
「だから楓達にも手伝って欲しいかな」
「俺達って?」
「葵とか華」
「でも何をすればいいのかわからないし」
「選挙はあくまでも正当法で行きたいところだけど、和海が相手だし多分卑怯な手段を使うに違いない、そのまま負けるのは悔しいだろ?」
「そうだけど」
「運動部の票は冬矢に流れる、と言う事は運動部以外を取り込むしかない」
「俺達に出来る事は?」
「投票の前日、講堂でライブをして欲しいかな」
「ライブ?」
「繭の応援としてね」
「繭の応援ならやるしかないね、社長は繭だし」
「やりたくない?」
「えっ?」
「やりたくない?」
「そんな事は無いよ、俺も繭を応援したいし」
「うん」
「じゃ、頑張ろう!」
「うん」
まさか高校生活の中で選挙活動をするとは思わなかった
でも、あんな生徒会は無くなればいい
飼育された動物のような役員達
それを壇上から見下ろす和海
あんな奴が日本を動かす?
そんな事になったら日本は動物園になってしまう
常に管理されて思考をもたない動物になってしまう
「楓」
「どうしたの、繭」
「和海は卒業出来ない」
「えっ?」
「だって僕達の手で殺すから」
「・・・・・・・・・・」
「繭」
確かにそうだ
和海の未来など無い
絶対にね
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 169