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今日は翔の温室で作戦会議
「この温室は翔の趣味?」
「だね」
「そうなんだ」
会長室とは違い、とても落ち着く
甘いほのかな花の香りと綺麗な花々
「適当に座ってね」
「うん」
ソファーも座り心地がいい
このまま眠ってしまいそう
翔にお茶を淹れてもらい話始めた
「投票は来週、今の時点で票は見事にわれているね」
「このままではまずいんじゃないかな」
「和海はずるい・・・お金をばらまいてる」
「まぁ、和海だしな」
「文化部もそっちに流れたら冬矢が会長になってしまうね」
「それだけは避けたいんだけど、楓達はどんな感じ?」
「明日機材を搬入するだけかな」
「後は楓達に賭けるしかないって事か」
困ったな
期待されると困る
俺達はステージに立てばどこでも同じだけど和海の行動も気になる
金をばらまくだけでは済まないような気がするし
「さて、どうする?」
「氷龍、何かいい提案でもあるの?」
「無いな」
「ったく!」
「なるようになるしかないだろ?」
「そうだけどさ・・・冬矢が会長になったら地獄の1年だ」
「確かに」
だからと言ってこれと言った案も無く、太陽も沈んでしまったので翔達は寮に帰る事にした
「楓は?」
「俺達は少し練習してから戻るよ」
「わかった」
「楓」
「ごめんね、繭・・・練習に集中したいから」
「わかった」
可哀相だけど仕方が無い
俺達は音楽室に向かい、練習を始めた
練習と言っても軽く流す程度で、後は当日のリハで細かい打ち合わせをする事になった
「冴達もスタジオで練習してるって、今写メが来た」
「二人で?」
「ドラムだけで?」
「いいんじゃない?」
「だね」
自己連的な物だろうし、二人でいたいのかもね
「帰ろうか」
「だな」
「うん」
音楽室を閉めて、廊下を歩いた
「夜の学校って怖いよな」
「だよね、不気味」
「そうかな?」
「楓は別だ!」
「でもさ、誰もいない教室から声とか・・・」
「イオ、止めろ!怖いだろ!!」
「ごめん・・・楓?」
「声が聞える」
「止めろって!マジ勘弁」
「ほら、聞こえない?」
どこかで話し声がする
「おい、楓!」
どこだろう
歩きながら声の主を捜した
「怖いって!!楓、待て」
「葵・・・俺腰が」
そして足を止めた
ここだ
「楓!」
「しっー」
そっと中を覗いて様子を伺った
「いいお話でしょ?美術部の部費が二倍になるのですよ?」
「しかし」
「この際、備品や絵の具類も買い揃えましょう」
「・・・・・・・・」
和海と美術部の部長だった
「悪い話ではないでしょ?」
「僕にどうしろと」
「簡単な事です、冬矢の名前を書くだけですので」
「それはっ・・・」
「わかりました、ではこれを」
「それは?」
「あって困るものでは無いでしょ?」
「・・・・・・・・僕は」
「知っていますよ、華と友達でしたね・・・でもそれと生徒会とは別物では?」
「・・・・・・・・・」
「貴方が動けば文化部も動くでしょ?」
「・・・・・・・・・・」
「断れば美術部を廃部にします」
「そんなっ!」
「では、これで」
和海が美術室から出て来る前に、暗闇に隠れた
「廃部とか言われたらどうしようもないだろ?」
「だよね・・・」
「どうして?」
「どうしてって」
「会長が繭になれば和海にそんな権限は無いはず」
「あっ、そっか」
「だけどかなりやばくないか?」
「帰ろうか」
「いいのかよ?」
「後は彼の良心に賭けるしかないしね」
「でもなぁ・・・」
「考えても仕方が無いでしょ?」
「だね」
和海の言いそうな事だね
逆らう奴は潰すと言う考えはムカつく
この動物園は閉館させるしかない
寮に戻ると繭がベッドに腰かけていた
「繭」
「今夜のディナーは鮭のシチュー」
「えっ?」
「楓を待ってた」
「繭、お腹空いたでしょ?」
「楓も同じ」
「ごめんね、行こうか」
「うん」
ずっと待っていたんだ
先に食べればいいのに・・・なんて言えないよね
繭なんだし
食堂に向かうと、もう片付けを始めていた
「終わったみたい」
「鮭のシチュー」
「だから」
「鮭のシチュー」
「わかった、聞いて来る」
「うん」
話をしたけど当然何もないとの返事
「繭、もう何も残ってないって」
「僕が話をする」
「でも」
「僕が・・・」
「わかった」
そして繭が厨房に向かい、話をしていた
中まで入るんだ・・・
「作ってくれる」
「えっ?」
「20分」
「どうして?」
「脅した」
「脅したって・・・繭が?」
「ここの厨房で人材を派遣している会社は僕の会社の子会社」
「成程」
当然、社長の顔も知っているわけか
「あ~、やっぱり終わってたか」
「お腹空いた・・・」
葵達も遅れてやって来た
「楓と繭君・・・何をしているんだ?」
「葵さんと華さんもどうぞ」
「へ?」
「20分程で出来上がるそうです」
「マジで?助かった~」
「よかったね、でもどうして?」
「繭のおかげかな」
「そっか、サンキューな繭君」
「ありがとう」
照れてる?
「De rien」
「葵、何て言ったの?」
「どういたしましてと言ったんだよ、な~繭君」
繭は小さく頷いて少しだけ微笑んだ
「と言うか、この学園って英語、フランス語、ドイツ語、マナーに社交ダンス・・・俺着いて行けないかも」
「頑張れ」
「葵達は賢いからそんな事が言えるんだよ・・・俺ドイツ語の小テスト50点」
「すごいじゃないか!」
「そういうのいいから」
「華、俺もすごいと思うよ」
「楓」
「だって突然ドイツ語をはじめてその点数なら大丈夫」
「辞書も何を使えばいいのかわからないし」
「俺もドイツ語は苦手だしな」
「僕の辞書をお貸しします」
「えっ?」
「見やすいですし僕はもう必要ありませんので」
「いいの?」
「ええ」
「嬉しい!すごく助かる」
「よかったな」
「うん、ありがとう繭君」
「繭」
「ん?」
「繭」
「うん、繭君でしょ?」
「繭は呼び捨てでいいって言う事だよ、そうでしょ繭」
また頷いた
「わかった、繭俺達も呼び捨てでいいからな」
「そうだよ、堅苦しいのは抜きにしよう」
「はい」
「華、後で部屋に来て下さい」
「うん、必ず行くね」
「はい」
でも会話はまだ敬語か
仕方が無いね
そしてシチューが出来上がり、俺達は遅い夕食にありついた
「パンしかないそうです」
「十分!」
「美味しそう」
繭はパンを思い切りほおばっていた
やはりハムスター・・・
でもシチューの食べ方は上品で優雅だった
何故パンだけ?
そして・・・
「あ、あの・・・繭?」
「どうぞ」
「えっと」
華の手の上には抱えきれない程の辞書が乗っていた
辞書と言っただけでドイツ語だけとは限らない
「いいのかな・・・」
「どうぞ」
「ありがとう、じゃ借りるね」
「それとこれも」
「うわっ、重っ」
更に二冊追加
「テストに役立つと思うます」
「助かるよ、じゃ戻るね」
「はい」
「繭、ありがとう」
華はよろけながら廊下を歩いていた
10冊も持てばそうなるよね
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