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お昼休み、お弁当を持って講堂へ向かった
講堂の前にはトラックが止まっていた
「楓、お弁当・・・」
「これでいいですか?」
「もう少し右かな・・・うん、それでいい」
「スクリーンの配置どうします?」
「いつものように」
「わかりました」
「楓、ドラムなんだけどここでいいかな?」
「いいよ」
「わかった」
「音響が悪いな、やはり今日中に来てもらおう」
「わかりました、連絡しておきます」
みんなに頼られている楓がそこにいた
授業をサボってぼんやりしている楓はどこにもいない
「楓、椅子はどうする?スタンディングで行くか?」
「椅子だと人数制限されてしまうね」
「確かにな」
「スタンディングにして柵を」
「オッケー」
楓の指示でいろんな人達が動いていた
あっ、見た事のあるアンプだ
バンドの名前が書いてあるやつ
僕は声をかけるのも忘れてただ見つめていた
楓達はいつもこうやってあのライブを作り上げていたんだ
「繭、声をかけてくれればいいのに」
「お弁当」
「持って来てくれたの?」
「うん」
僕に気付いた楓はみんなを呼んだ
「休憩にしよう」
「お腹空いてたんだよな~」
「だね」
「何がお好きか分からなかったので色々な種類を取り寄せました」
「ちょ!このお弁当有名料亭のめちゃ高いやつ!!」
「全部そうだね、どうしよう迷うな」
「楓はこれ」
「ありがとう」
楓のお弁当は特別
「繭は?」
「僕はこれ」
「鯖サンド?」
「絶対いらない」
「美味しいのに」
「繭はオープンサンドかぁ~」
「これは副食です」
「えっ?」
「後はこれです」
「パン祭りだな」
パン祭り・・・
「じゃ、食べようか」
「だな!いただきます」
「美味しそう、いただきます」
「楓、食べて」
「うん、いただきます」
「おいおい、楓のお弁当何かおかしいよな?」
「確かに」
「おかしくないと思う、プリンが主食」
「よくこんなの作れたな」
「楓、食べて」
「プリンが・・・」
「うん、プリン」
「プリンが・・・」
「大きすぎた?」
「ぎっしり!」
「おかしいおかしい!」
「繭、ありがとう」
「たくさんある」
「うん」
「もはやそれはただのプリンの詰め合わせだろ」
「だね、生クリームが副食でプリンが主食って事かな」
「だろうな」
楓は嬉しそうな顔で食べていた
僕は見ているだけで胸やけしそうだった
午後の作業もずっと見ていた
どんどん出来上がるステージを見ているのは楽しかった
「繭、ここにいたのか~」
「翔」
「あのさ、ライブのチケどうする?」
「どうするって?」
「金はとらないけど、整理券とか必要じゃないかな」
「・・・・・・・・・」
「当日で大丈夫か?」
「ダメ」
「そう言うと思って持って来た、放送流して配ってもらうぞ」
「うん」
その後、放送を聞いた生徒で大変な事になっていた
整理券はあっという間に無くなり、呆然としていた僕を見つめて楓は笑っていた
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